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GPIF 選定の新ESG 指数に、地球の気候を破壊している三大メガバンク(ハナ・ハイネケン)

2017-08-25 21:48:51

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   気候変動リスクを回避する、持続可能な未来を達成するには、今後15 年間に年間約2〜3 兆米㌦の追加費用が必要となると推定されています。世界の年金基金は合計30 兆米㌦の資産を管理しています。私たちが将来の世代のために地球を救うためには、この資金をうまく動員することが重要です。

 

 7 月初め、世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、いわゆる「ESG」投資指数(インデックス)を発表しました。驚いたことに、このインデックスには、資金提供を通じて地球の破壊に拍車をかけている日本の三大メガバンク〜みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJ フィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ〜が含まれています。

 

 1.3 兆米㌦の資産を管理しているために、このようなGPIF による決定は資金の流れや、どの企業が「責任ある」企業であるかという認識に大きな影響を及ぼす可能性があります。この最近の決定は、GPIF の責任ある投資行動に対するコミットメントに疑問を投げかけるものとなります。

 


GPIF のESG ポートフォリオ


 2015 年9 月、GPIF は国連の責任投資原則(PRI)に署名し、環境・社会・ガバナンス(ESG)課題を投資の管理方法に組み込むことを約束しました。ESG は、投資家がどのように社会的および環境的に責任ある企業を特定するかの省略形です。GPIF は、気候リスクを含むESG 要因を考慮した長期投資の積極的支持者であり続けてきました。昨年、GPIF の理事 (管理運用業務担当)兼CIO の水野弘道氏は、「気候変動は長期的な問題ですが、日々の投資実践に取り入れる必要があります。ESG インデックス/ポジティブ・スクリーンはこれを実現する一つの方法です」と述べています。

 


 同時に、水野氏は資産運用会社に対してダーティーなインフラからの投資撤退を約束することを求め、以下のように述べました。「責任投資原則に同意するグループとしてのアセットオーナーは、商業的な実現可能性や実行可能性、またはコストベースでの魅力度を問わず、これらのタイプのインフラには資金提供を行わないという声明を出す必要があります」。

 


 先月、GPIF は強力なESG 特性を持つ株式に合計3 兆円を割り当てる壮大な計画の一環として、ポートフォリオの1 兆円を3 つのインデックスに配分し始めました。新規に開始された以下の3つのインデックスをGPIF は選びました。

 

・ FTSE Blossom Japan Index
・ MSCI ジャパンESG セレクト・リーダーズ指数
・ MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)

 


GPIF のESG インデックス企業は気候変動に拍車をかけている

 

 残念ながら、選択されたインデックスを詳しく見ると、日本の三大メガバンクを含め、問題ある企業が多く含まれていることがわかります。


 レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)といくつかのパートナー団体の調査によると、これらの3 行は、気候変動の主な原因であるエクストリーム化石燃料(1)の使用と熱帯林減少に数十億㌦もつぎ込んでいることがわかります。

 

 RAN、TuK-Indonesia、Profundo(2) によるforestsandfinance.org の取組みは、東南アジアの熱帯林破壊に資金を提供している銀行や投資家を洗い出しています。東南アジアのパーム油、紙パルプ、木材、天然ゴム(これらを「森林リスク商品」と総称)分野で事業活動をする最も問題を引き起こしている企業を分析したところ、三大メガバンクが多額の資金を提供していることが最大の財政的支援者グループに含まれていると判明しました。


・ 2010-2016 年の間、三井住友、みずほ、三菱UFJ は、東南アジアの森林リスク商品事業に120 億米㌦の企業融資と引受を行った(下図参照)。


・ 資金提供の大半は、パーム油と紙パルプ部門に注ぎ込まれた。これらは、東南アジアの熱帯林消失の主要な推進要因と、炭素を豊富に含む泥炭地の転換という気候変動の重要な推進要因である。

 

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2010-2016 年のセクター別上位15の貸出業者及び引受業者(単位:10 億米㌦)出所:forestsandfinance.org

 


 日本の銀行は、エクストリーム・オイル(タールサンド、北極や超深海の石油開発)、石炭採掘、石炭火力、液化天然ガス(LNG)輸出など、化石燃料産業の炭素集約度の高い部門への主要な金融提供機関でもあります。今年、4つのNGO、RAN、BankTrack、Sierra Club、Oil Change International が発行したレポート「化石燃料ファイナンス成績表:気候変動を加速する銀行業務(Banking on Climate Change)」は、日本の銀行がこれらの分野に深く関わっていることを示しています。

 


・ 2014-2016 年の間、三菱UFJ FG、みずほFG、三井住友FG は、レポートで分析されたわずか158 社によるエクストリーム化石燃料の抽出や関連インフラに200 億米㌦以上を割り当てました。

・ 2016 年、三菱UFJ とみずほは、パリ協定の目標に明確に反して、最も炭素集約度の高い発電源である石炭火力発電のための資金提供を合わせて20 億ドル近く増加させました。


・ これら全3 行は、米国で論議を呼んでいるダコタ・アクセス・パイプラインの建設に資金を提供し、また現在地球上で最大の炭素爆弾と呼ばれているカナダのタールサンドの開発にも資金を提供しています。

 

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写真:カナダのタールサンド (Louis Helbig / beautifuldestruction.ca)

 

 提言

 日本の三大メガバンク全ての最大の株主であるGPIF は、これらの銀行が低炭素の将来に対して資金提供することを保証する最大の責任を負っています。GPIF は外部の資産運用会社にESG を投資プロセスに統合するよう依頼していますが、それ以上のことを行う必要があります。

 

 開示の改善:第1 段階として、GPIF と他の投資家は、日本の三大メガバンクに対し、化石燃料や熱帯林リスク商品など炭素集約度の高い部門を優先して、財務ポートフォリオ全体について、全ての重要なESG リスクを評価し開示するよう促すべきでしょう。

 

 私たちの分析によれば、これらの銀行のいずれも機関投資家にESG リスクを適切に開示していません。機関投資家は、日本のコーポレート・ガバナンス・コードの改革を促して、企業が気候変動および人権関連の全てのリスクを開示するよう要求する必要があります。企業による報告は、 GRI ガイドライン、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言、ビジネスと人権に関する指導原則などのグローバル・スタンダードと整合していなければなりません。

 


 デュー・ディリジェンスの改善:機関投資家は、気候、生物多様性、人権に関する重要なリスクをもたらす全ての分野について、方針とデュー・ディリジェンスシステムの採用を投資先の銀行に対して促すべきでしょう。米国や欧州の銀行とは異なり、日本の三大メガバンクは、資金提供による悪影響を最小限に抑える包括的方針がありません。日本の銀行は、貴重な高炭素貯蔵林や泥炭地を守り、人権を尊重し、石炭火力発電を含むエクストリーム化石燃料への資金提供を停止するという誓約を公表しなければなりません。

 


 ダイベスト:機関投資家は、銀行が資金提供を清浄化するために迅速な対応を取らない場合は、ダイベスト(資金引揚げ)するべきです。


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 日本を含め、G20 サミットの19 カ国はパリ協定へのコミットメントを再確認しましたが、銀行や機関投資家が高炭素資産に引き続き資金を投入すれば、気温上昇を「2℃を大きく下回る」という協定の目標を達成することはできません。気候変動の世界最大の資金提供者の一員である三大メガバンクを新たなESG 指数に含めたことにより、GPIF は低炭素経済を支援するために、これらの銀行の慣行を確実に変える責任があります。

 

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(注1) エクストリーム化石燃料とは化石燃料産業において最も炭素集約度の高い、財政的に危険な、そして環境破壊的な部門であるエクストリーム・オイル(オイルサンド、北極や超深海の石油開発)、石炭採掘、石炭火力発電、そして米国からの液化天然ガス(LNG)輸出などを指す。


(注2) TuK Indonesia はインドネシアのNGO、Profundo はオランダの金融調査会社。

 

 

ハナ・ハイネケン(Hana Heineken) 国際環境NGOのレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)の森林と金融キャンペーンの シ二アアドバイザー。米プリンストン大学、ベースロースクール卒業。東京生まれ。

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