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「Green Finance Network Japan(GFNJ)」の立ち上げについて(高田英樹)

2018-11-30 17:10:01

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 私は2015年7月から2018年7月まで3年間、日本の財務省からパリのOECDに出向し、環境局において、グリーン・ファイナンスを担当いたしました(活動の概要はこちらをご覧下さい)。今夏の帰国後、グリーン・ファイナンスとは直接関係のない部署に就きましたが、OECDでの勤務を通じて培った知見と内外の人的ネットワークを、今後も役立てたいと考え、非公式な活動として、Green Finance Network Japan(GFNJ)を立ち上げました。

 

 GFNJは、末吉竹二郎・グリーンファイナンス推進機構代表理事及び、玉木林太郎・国際金融情報センター理事長を発起人とし、私が事務局長を務めております。なお、玉木氏は2017年夏まで、OECD事務次長を務め、環境政策についても、私の上司として指揮を執っておられました。

 

 9月初め頃から声掛けを始め、11月末の時点で既に、約50の組織から、70名以上にメンバーとして加わっていただいております。その中には、主要関係省庁(環境省・経産省・財務省・金融庁・外務省)や、金融機関、機関投資家、企業、開発金融機関、シンクタンク、学者、国際機関、NGOといった、幅広い関係者が含まれております。

 

 政府関係者と民間のステークホルダーを共に含んでいることが、このネットワークの大きな特徴の一つです。GFNJの立ち上げを、OECD時代に知り合った海外の関係者にも周知したところ、世界の一線で活躍する多くの方々から、関心と祝意を表明いただきました。グリーン・ファイナンス関係者に広く読まれているResponsible Investorのメールマガジンや、Climate Bonds Initiativeのブログにも紹介されております。

 

 GFNJはインフォーマルなネットワークであり、メンバーは個人としての立場で自由に参加いただいております。参加に際し、会費やその他の義務はありません。共通のメーリングリスト等を通じ、関係者間の情報共有を図るほか、このネットワークが、海外の関係者との連携のプラットフォーム機能を果たすことを期待しております。

 

 実際、GFNJ立ち上げ後、多くの海外関係者から、来日の機会にお声掛けをいただいております。今後、ネットワークの発展に応じ、政策の分析・提言といった活動も視野に入れていきたいと考えております。

 

 2018年11月3日、GFNJの立ち上げ記念イベントとして、「SDGs・グリーンファイナンス:持続可能な社会へ向けた新たな金融の潮流」と題するシンポジウムを都内で開催いたしました。

 

 末吉竹二郎氏の基調講演に続き行われたパネル・ディスカッションでは、私がモデレータを務め、金融庁・池田賢志氏、環境省・芝川正、BNPパリバ・中空麻奈氏、三菱UFJ銀行・山﨑周氏、日本生命・高石裕介氏、JICA・武藤めぐみ氏(発言順)がパネリストとして登壇されました。

 

 それぞれの取組みの紹介に加え、日本のグリーン・ファイナンスが欧米に比べ遅れている面があるとすればそれは何故か、公的セクターは民間セクターに、また民間セクターは公的セクターに、何を求めるか、といった論点について、まさに官民を交えた議論が行われました。フロアからも活発な質問・意見が出され、日本政府全体としての今後の戦略を問う発言もありました。

 

 登壇者に加え、聴衆にも、日本のグリーン・ファイナンスを牽引する主要プレイヤーが参集し、また、この分野の専門家ではないが興味を持つ方々も多くみられました。休日かつショート・ノーティスの開催にも関わらず、約200名もの人々が参加したことは、グリーン・ファイナンスへの関心の高まりを如実に示していると思われます。

 

 GFNJは常時メンバーを募集しており、また、気候変動やグリーン・ファイナンス、SDGs等に関わる他のネットワーク、イニシアティブとも相互に連携させていきたいと考えておりますので、ご関心のある方は是非気軽にご連絡下さい。

 

高田英樹(たかだ・ひでき) 1995年大蔵省(現財務省)入省。2003~06年、英国財務省に出向。主計局、主税局、内閣官房国家戦略室、広報室長等を歴任。18年7月まで前OECD環境局上級政策分析官。ケンブリッジ大学法律学修士、ロンドン大学経営学修士。