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論文:Sustainable Finance in Japan(Kim.Schumacher. et.al)

2020-03-18 21:03:02

Kim2キャプチャ

 

 東京工業大学の環境・社会理工学院講師でルクセンブルク環境・気候・持続可能開発省のESGリサーチコンサルも務めるDr.Kim Schumacher (キム  シューマッハ)氏が中心となって、日本のサステナブルファイナンスの分析と、その課題克服を展望した論文「Sustainable Finance in Japan」がオンライン科学サイトの「Journal of Sustainable Finance & Investment」に掲載されました。

 

 同論文は日本企業、金融機関等のTCFDへの署名や、ESG投資、グリーンボンド発行、SBT目標の設定等が比較的順調に推移していることを分析。そのうえで、各セクターからのCO2排出量の削減状況や、パリ協定の目標に照らして、高カーボンセクターの気候回避や適応策の実行レベルが低い点、また政策対応の遅れ等のギャップの存在も指摘しています。そこから生じる政策リスク(移行リスク)、温暖化の影響が顕在化する物理リスクはすでに現れており、日本の金融機関にとっての重要な気候リスクになっているとしています。

 

  こうしたリスク対応のために、論文は、日本の金融機関はTCFD提言に沿った気候関連リスク情報開示を含め、サステナブルファイナンスやESG要因等を、経営に取り込む積極的な決断をする必要があるとも求めています。とりわけ、すべてのアセットクラスを通じてカーボンネットゼロ経済へのファイナンスをスケールアップする方向にカジ取りを提案しています。

 

 政策当局についても、これまでの日本の対応は、気候リスク低減のための法的な枠組みや規制体系の改善よりも、個別企業への支援策にとどまっていると指摘。資源の枯渇リスクや気候関連災害の激甚化、金融システムへのリスクの高まり等を踏まえ、総合的なESG適応戦略を基本とする方向への転換を求めています。

 

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https://www.geog.ox.ac.uk/staff/kschumacher.htmlKim1キャプチャ

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