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RIEF論文: 「グリーンボンドが新たな資本市場として成長するための課題」(藤井良広氏)

2017-05-30 18:34:35

fujii5キャプチャ

 

 地球温暖化対策へ民間資金を導入する金融ツールとして、グリーンボンドに注目が集まっている。グリーンボンド市場整備の議論も高まってきた。そこでグリーンボンドが新たな資本市場として成長するための国際・国内基準の整合性問題やコスト削減策等を中心に、「週刊金融財政事情2017年5月22日号」で、論点を整理した。

 

 グリーンボンドの概要については、同誌「2016年12月19日号」でまとめたので、そちらを参照していただきたい。http://rief-jp.org/book/66747?ctid=35 本論文は、OECDの「Mobilising Bond Markets for a Low-Carbon ‘Transition’」と、G20の「グリーン金融研究グループ報告書」、欧州委員会の「Study on the green bond finance for resource-efficeint investments」などの文献を元に、グリーンボンド市場拡大の諸課題と対応策をまとめ、検証する手法をとった。

 

 最近、日本の環境省が独自のガイドラインを公表するなど、国別ガイドラインのあり方と、GBPなどの国際ガイドラインの整合性の問題を取り上げた。基準論議はOECDやEU内部のほか、国際標準化機構(ISO)などでも検討に動いており、今後、GBPのような市場ベースのデファクトスタンダードから、債券市場に共通のルールに移行するのかが焦点だ。

 

 国別ガイドラインは、すでに中国、インドで先行して実施されている。だが、中国などは国際ガイドラインとの差異が優良な投資家向けの販売の足かせとなっているとして、GBP等との整合性を取る方向に動いている。環境省のガイドラインについては、「批判的に」検証した。

 

 発行コスト対策は実務上、重要なポイントとなる。特に、超低金利が続く日本市場ではコスト問題が、グリーンボンド発行の妨げになっているとの指摘もある。