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論文:中国における排出量取引制度の発展状況と今後の展望(金振、水野勇史、劉憲兵)

2018-09-27 18:30:27

IGESキャプチャ

 

 本稿は、2009年以降における中国排出量取引制度の発展について振り返り、今後の展開について整理したものであり、1.制度導入の背景および国内政策としての位置づけ、2.パイロットETSの現状、3.今後の展望、の3つ内容に分けられている。


 1.制度導入の背景および国内政策としての位置づけ、においては、中国パイロットETSの始動から国家ETS導入までの歴史的政策文書を精査し、胡錦涛政権と習近平政権における政策論的位置づけについて整理した。


 2.パイロットETSの現状、においては、(1)制度開始に向けたプロセス、法的根拠、(2)パイロットETSの基本情報、(3)対象業種、線引き基準、(4)割当方法論の概要(2省5市)(5)MRV の仕組み、の5つの内容を中心に、9つのパイロットETSの仕組みについて比較分析を行った。特に、割当方法論(2省5市)とMRV の仕組みに関する内容については、より立ち入った比較分析を行った。


 3. 今後の展望、においては、今後の課題として、全国ETSとパイロットETSの統合、または並行運用が大きな議論のポイントであることを指摘した。


 添付資料「ETSに関連する政策文書のまとめ」では、中国パイロット・全国ETSについて言及したすべての政策文書(国家レベル)について整理し、該当箇所の翻訳文も添えた。 本稿が日本における中国ETS研究の一助になることを願うばかりである。(金振)

 

金 振(Zhen Jin) 京大法学博士、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)を経て、2017年5月より公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)気候変動・エネルギー領域タスクマネジャー。中国・吉林省出身

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