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みずほフィナンシャルグループに対して、環境NGOが気候リスクとパリ協定に整合する投資計画を求める株主提案提出。気候変動に関する株主提案は日本で初めて(RIEF)

2020-03-16 15:13:46

mizuho1キャプチャ

 

 環境NGOの「気候ネットワーク(KIKO)」は13日、みずほフィナンシャルグループ(FG)に対して、気候関連リスクおよびパリ協定の目標に整合した投資を行うための計画を開示するよう求める株主提案を提出した。みずほFGは石炭事業者への融資額で世界最大とされる。気候変動に関する株主提案は日本では初めて。

 

 KIKOはみずほFGの株式を現在、3万1000 株(議決権数 310)所有する。株主提案の内容は、「当会社(みずほFG)がパリ協定及び気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同していることに留意し、パリ協定の目標に沿った投資を行うための指標および目標を含む経営戦略を記載した計画を年次報告書にて開示する」との条項を定款に盛り込むことを求める、というもの。

 

KIKOキャプチャ

 

 提案理由として、主に3点をあげている。まず、みずほが賛同するパリ協定の目標に沿った投資を行うための指標及び目標を含む経営戦略を記載した計画を開示することにより、みずほが気候変動リスクに晒されることから守り、株主の資産を守ることができる。

 

 第二に、すでに深刻な被害を引き起こしている気候変動は、人間社会及び世界及び地域経済に甚大なリスクをもたらす。この危機を回避するためのパリ協定 は、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃を十分に下回るようにすること並びに1.5℃に留めるよう努力することを目標にし、資金の流れを温室効果ガスの削減方針に適合させることも目的にしている。

 

 第三点は、みずほは石炭火力事業会社に世界で最も多額の貸付を行っており、脱炭素経済への移行において価値が著しく低下する事業による甚大なリスクに晒されている。本提案により、株主は、当該リスクに対しみずほがどのように対応するのかを知ることが可能になる。

 

世界の主要銀行による石炭関連事業向け融資のランキング。みずほをはじめ、日本のメガバンクが上位3位を独占している。
世界の主要銀行による石炭関連事業向け融資のランキング。みずほをはじめ、日本のメガバンクが上位3位を独占している。

 

 石炭関連産業に関係する世界的な金融機関をまとめた報告によると、みずほは石炭事業者に対して、2017年から19年までに総額168億㌦(約1兆7640億円)の融資をおこなっており、その額は世界最大とされる。

 

 現在も、ベトナムで計画中のブンアン2(Vung Ang 2)石炭火力発電所計画を含め、国内外の石炭関連事業のプロジェクトファイナンスに関与し続けている。みずほの現行方針は、融資を超々臨界圧発電方式(USC)を採用する石炭火力事業に限定するとしているが、KIKOは「実際にはどこででも石炭火力発電事業に資金提供できるような抜け穴がある」と指摘している。

 

 欧米の主要な金融機関の多くは、石炭関連事業への投融資から撤退したり、規模を縮小したりしている。最近はアジアでも、シンガポールのDBS銀行、オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)、ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)などが相次いで石炭火力事業への支援中止を表明、新興市場で大きな影響力を持つ英スタンダードチャータード銀行も、石炭火力事業向け融資支援を段階的に廃止する方針を公表している。だが、みずほをはじめとする日本の3メガバンクは出遅れている。

 

 KIKOの国際ディレクター、平田仁子氏は、「世界最大の資産運用会社ブラックロックCEOのラリー・フィンク氏が『気候変動リスクは投資リスク』と言うように、石炭火力事業に世界で最も多額の融資をしているみずほは、非常に大きな気候リスクに直面している。しかし、投資家はみずほの投資状況を適切に把握できていない。投資家は、みずほがいかに気候変動リスクを管理し、どのようにパリ協定の目標と整合的に事業を行おうとしているのかを知る権利がある」と指摘している。

 

 

https://www.kikonet.org/info/press-release/2020-03-16/mizuho_shareholder_resolution

https://www.banktrack.org/article/banks_and_investors_against_the_future