みずほ銀行、タイのペットボトル原料世界最大手のIVL社向けに、サステナビリティ・リンク・ニンジャ・ローンをアレンジ。総額約268億円。ESG目標達成すると金利引き下げ（RIEF）
2020-03-20 13:19:48
みずほ銀行はタイのインドラマグループのIndorama Ventures Global Services Ltd.（IVL）向けに初の「サステナビリティ・リンク・ニンジャローン」をとりまとめた。調達資金総額は2億5500万㌦（約268億円）、期間5年。IVLは、ペットボトルの原料になるポリエチレン・テレフタレート（PET）の世界シェア約20%という最大手で、近年はPET樹脂のリサイクル事業に力を入れている。今回のローンは、同社のリサイクル等への取り組みを評価するサステナビリティ指標のESGスコアが一定の基準に達した場合、金利を引き下げるインセンティブをIVLに付与する仕組み。
（写真は、IVL社のペットボトル回収率の推移）
ニンジャローンは、日本の金融機関が国内投資家向けを中心とした非日系・非居住者向けのコーポレートシンジケート・ローンのこと。「サムライローン」とも呼ばれる。「ニンジャローン」の名称は、みずほ銀行が商標登録している。同ローンのシンジケートには第一生命等、日本内外の16の金融機関、機関投資家が参加した。IVLは調達資金を既存の融資のリファイナンス等に充当する。
サステナビリティ・リンク・ローンは、一定のESGスコアやKPI（主要業績指標）によって当該企業のESG改善度を評価し、資金を融資するもの。グリーンボンド等は特定のプロジェクトの資金需要を対象とするが、サステナビリティ・リンク・ローンの資金使途は借り入れ企業の一般資金需要に充当できる。今回、非日系の企業に日本の金融機関が融資するニンジャローンとして供給された。
借り入れ企業のIVLは、タイ本拠で世界33ヵ国でグローバルに事業を展開する石油化学大手企業。同社が主力商品とするPETは海洋プラスチックごみ問題で、回収・再利用・廃棄等が国際的な課題となってる。同社は、2025年までにリサイクル水準を大幅に向上させる等のESG目標を立てている。今回のローンでは、グローバルに信頼性の高い第三者機関が評価する同社のESGスコアが、同社とシンジケート団で事前に取り決めた基準に到達した場合、金利を引き下げるインセンティブを付与することで、同社にESGスコア改善を促す。
みずほ銀は、「ESGへの対応の重要性が世界的に高まるなか、サステナビリティ・リンク・ローンをシンジケーション方式で組成することで、取り組みに賛同する参加金融機関とともに、IVLのESGへの取り 組みをファイナンス面から支援する」とコメントしている。
シンジケートに参加した第一生命は、約11億円分の融資を引き受けた。同社は「本投資がインドラマ社のリサイクル事業をはじめとしたサステナビリティ取組のさらなる推進の動機付けとなり、プラスチックごみ削減に向けた事業の構造転換（トランジション）の後押しとなることを期待している」と述べている。
https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2019_082.pdf
Research Institute for Environmental Finance