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環境NGO5団体、新規の石炭火力発電建設事業を内外で継続する三菱商事に投融資をしている機関投資家、金融機関合計51社に向け、同社への投融資引き揚げを求める要請書送付(RIEF)

2020-03-25 16:29:01

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   環境NGOの FoE Japanなど5団体は、三菱商事が新規の石炭火力発電の建設を続けているとして、同社に対する投融資を引き揚げるよう、機関投資家および主要銀行等51社に対して「ダイベストメント要請書」を送付した。グローバルに温室効果ガス削減に向けた取り組みが進む中、同社が石炭火力事業を継続することは、同社の財務面および企業評価の面でリスクを高めることになるとして、同社に対する投融資の見直しを求めている。

 

 要請書を送付したのは、FoEJapanのほか、気候ネットワーク(KIKO)、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、350.org Japan、メコン・ウォッチ の各団体。送付先は三菱UFJフィナンシャル・グループなどの3メガバンクを含む51社。このうち国内は半分の26社で、他は海外の機関投資家等。

 

 要請書によると、三菱商事は、日本国内で2件(福島県の勿来および広野発電所)、ベトナムで2件(ブンアン2石炭火力発電所、ビンタン3石炭火力発電所)の合計4件の新規石炭火力発電所の建設計画を推進している(合計総発電容量は4266MW、うち三菱商事の持分総発電容量は1302MW)。これは、日本の商社の中では新規案件としては最も多い。

 

三菱商事の新規石炭火力案件
三菱商事の新規石炭火力案件

 

 ドイツの国際環境NGO Urgewaldによる世界の石炭関連企業データベース「Global Coal Exit List」でも、同社は世界の主要な石炭火力発電事業者として名指しされている。NGOらは要請書で、新規の石炭火力発電の建設は、パリ協定で定められた「2℃目標」や「1.5℃目標」に反すると指摘。三菱商事は2℃シナリオを想定した分析を行っていると説明するが、「2℃目標」の達成には新規石炭火力建設の余地はない、と批判している。

 

三菱商事の保有する既存の石炭火力関連事業
三菱商事の保有する既存の石炭火力関連事業

 

 同社の新規事業のうちベトナムのブンアン2事業では、三菱商事と合弁を組んでいた香港企業CLPホールディングスが2019年12月17日に脱石炭方針を発表し、同事業から撤退したほか、融資団に参加していた英スタンダード・チャータード銀行 、シンガポールOCBC 、DBS銀行も相次いで撤退した。融資を検討しているのは日本の公的及び民間銀行だけだ。

 

 2020年1月には、世界最大の運用会社である米ブラックロック(BlackRock)が、持続可能性を重視した投資方針に基づく運用方針への転換を表明 、運用資産から石炭関連株を除外する方針を打ち出すなど、石炭火力事業関連企業向けのダイベストメント行動が世界的に広がっている。このことは、三菱商事に対して投融資をする日本の金融機関や機関投資家にとっても運用リスクを高めているといえる。

 

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 日本の商社はこれまでグローバルに石炭関連事業に投融資してきたが、昨年来、伊藤忠商事、丸紅等を中心に化石燃料事業からの方針転換をするところが相次いでいる。その中で、三菱商事は依然、石炭火力の継続案件を抱えており、国際的にもその動向が注目されている。NGOらは、石炭火力発電事業への関与をグローバルに見直すべきであり、その後押しとして、投資家、金融機関に、三菱商事からのダイベストメント検討を求める、としている。

https://www.kikonet.org/press-release/2020-03-23/mitsubishi-corp-campaign

https://sekitan.jp/jbic/wp-content/uploads/2020/03/Mitsubishi_cover-letter_JPN_logo.pdf