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三井住友信託銀行、岡山県・西粟倉村で、国内初の森林信託を開始。約10haの森林を集約受託。収益を委託者に還元(RIEF)

2020-08-03 13:35:10

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 三井住友信託銀行は、岡山県西粟倉村の複数の個人所有の山林を集約して専門的に管理し、自然を守りながら収益を生み出す森林信託を開始した。森林を対象とした信託サービスは国内で初めてになる。

 

 (写真は、岡山県西粟倉村の周辺:KYODONEWSより)

 

 同行は2018年2月から、同県英田郡西粟倉村との間で、森林信託を前提とした調査を実施してきた。過疎化の進展や高齢化によって、山林所有者が山の管理を十分にできないケースが増え、山林が荒れる原因の一つにもなっている。そこで、複数の所有者にまたがる山林をまとめて同行が森林信託として受託し、最新の測量技術やITを活用した「スマート林業」を取り入れて、収益を生む山林に変えることを目指すという。

 

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 対象となる山林は、西粟倉村の約10ha。現在、スギやヒノキが生育しているという。西粟倉村は人口約1500人。2009年から、地域の山林所有者との間で10年間の森林管理協定を結び、独自振興策である「百年の森構想」として山林の集合管理を進めてきた。

 

 ただ、山林所有者の高齢化や死亡に伴い、相続対象となる山林が増え、所有者変更に伴う協定の見直しが必要となるなどの課題があった。また個別に山林が売却されると、管理の行き届いた山林と、放置された山林が虫食い的な併存するリスクもあった。

 

 村の独自管理から森林信託に移管することのメリットは、信託だと、山林所有者の権利は所有権から受益権となることから、相続時の手続き等は簡略化できる。固定資産税や森林保険料なども受託機関が担うことになり、事務的な負担が軽減される。また、信託では森林を面的に管理・維持でき、安定的な森林整備を計画できることから、山林全体の価値を高めることもできる。

 

  三井住友信託は、受託した山林の管理を集約化・合理化することで、商事信託としての収益をあげることができる。信託期間は10年以上を予定。期間終了後、信託委託者が希望すれば所有権は返還される。西粟倉村での事業例が成功すると、日本全国の過疎の山林でも同様のスキームを展開できる期待もある。

 

https://www.smtb.jp/corporate/release/pdf/200803.pdf