HOME11.CSR |環境省、大銀行向けの環境格付け融資制度の利子補給を見直し、「大銀行支援に過ぎない」と事業レビューで批判(FGW) |

環境省、大銀行向けの環境格付け融資制度の利子補給を見直し、「大銀行支援に過ぎない」と事業レビューで批判(FGW)

2012-09-13 16:10:50

環境格付け融資で毎年利子補給をもらっている日本政策投資銀行
環境省は2007年度から実施している金融機関の環境配慮行動を促進するための環境格付け融資制度等への利子補給を、来年度からは大銀行ではなく中小金融機関向けに絞る。これまで日本政策投資銀行やメガバンク向けに利子補給をしてきたが、行政事業レビューによって有識者から「「大銀行支援に過ぎない」「有害な事業」との批判が出たことに対応するもの。

環境格付け融資で毎年利子補給をもらっている日本政策投資銀行




正式には「環境配慮経営促進事業に係る利子補給事業」で、環境配慮型経営に積極的に取り組む企業に対して、金融機関が環境格付けに基づいて、融資をする際、環境省が一定の利子補給をして支援する仕組み。特に地球温暖化防止のための企業の設備投資や研究開発を促進することを約束する企業向けの融資に、年1%を上限に5年間の利子補給をするなどの優遇措置を提供する。

環境省は同制度のために、2011年度は10億円、今年度は8億円の予算を計上している。ところが、利子補給を得ているのは、昨年度が政投銀のほか、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行と、大手行ばかり。今年度は、6つの地方銀行にも対象を広げたが、利子補給の大半は大手行に集中している。

しかし、同省が実施した行政事業レビューでの有識者からは、「大銀行支援に過ぎない」との批判のほか、「この制度によってどのくらいCO2の削減が促進されたかの検証が全くなされていない」「政策の実効性が把握できていない」「民間の大金融機関なら利子補給がなくても独自に環境経営はできるのではないか」などと、厳しい意見が相次いで出された。

このため同省は来年度も制度を継続する前提で、対象をこれまでの大銀行から、中小金融機関に全面的にシフトする方針を固めている。

環境省は民間の金融機関が自主的活動として実施している「金融行動原則」づくりにも、会議費や啓蒙のための旅費を含めた事務経費の支出に予算を提供しており、「銀行に甘い役所」との定評がある。(FGW)