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英国は、来年立ち上げるグリーン投資銀行(GIB)で老朽原発の建て替え促進にも資金供給の見通し(Bloomberg)

2011-05-30 00:52:41

英国は2012年4月に開設予定のグリーン投資銀行(GIB)を、原発建設資金に使う可能性がある。原発はより低炭素燃料の消費を促進するとみられるためだ。英国の「ビジネス・イノベーション・職業技能省(DBIS)」によると、原発への投資は、オフショア風力発電や炭素隔離回収施設(CCS)、海洋エネルギー開発、電気自動車の充電スタンドなどとともに、「高水準の評価」対象となっている。

 DBISの公表資料に基づく。ビジネス担当相のVince Cableは、原子力技術はGIBの最優先の投資クライテリアには合致はしていないが、だからといって、原発への投資を排除するものではないことも明らかだ、と述べた。英国政府の見積もりによると、国内の老朽化した発電所をすべて取り替えるには2000億ポンド(3200億ドル)が必要という。代替対象は総原発発電電力の5分の1に相当し、今後20年以内に一基を除いてすべてを代替しなければならない。

 DBISのレポートによると、原発推進のためには、多額の金融支援が必要になる。ただそうした投資の決定は先のことであり、GIBが投資資金を提供して金融的課題を解決する可能性は低い、と指摘している。英政府の計画では、原発による発電は2025年までに18Gwになる見通しで、そのうち2020年までに6Gw分が新たに建設される予定である。それらの投資額は少なくとも約170億ポンド(275億ドル)に上る見通しだ。

キャメロン首相は、英国の温室効果ガス削減目標を達成するために、古い原発を新しい原発に取り替えを促進することと、再生可能エネルギーによる発電の拡大によって対応する考えである。ただ、今月になって開いた政府のアドバイザリー機関のClimate Advisory Panel は、オフショア風力発電の建設が遅れ気味で、その分、原発建設を増やす必要がると提言している。

Cableによると、GIBの当面の優先投融資先は、産業部門のエネルギー効率化投資や廃棄物発電、オフショア風力発電、さらにはこれまで通常の金融取引の対象にはなりにくかった”high risk” プロジェクトなどが対象となるだろう、という。

英政府は、英国を歴史上もっとも環境に配慮した政府、すなわち”Green Administration”にし、かつ2015年までに財政赤字を削減するという公約を掲げている。その公約は、2015年の次の選挙までを想定している。そのために、英政府はGIBに国有資産の売却などによって30億ポンド分を投じようとしている。この国の資金は、投資家の資金を目標の2015年までに150億ポンド引き出すレバレッジ効果が期待されている。

 さらにCableは、GIBの組織づくりと、戦略づくりのために、アドバイザリーグループを立ち上げたことを明らかにした。同グループの議長には、民間の 3I Group Plc (III)のAdrian Montagueが就いた。彼は、2009年まで英国の原発事業者であるBritish Energy Group Plcの議長ポストを務めていた。

 一方、DBISは4月までにクリーンエネルギープロジェクトへの投資を開始した。GIBが立ちあがり、そしてそれらの事業がEUの政府補助金規制をクリアしたら、それらの事業はGIBに移管される。これらの事業への投資は、株式、劣後債や優先債などの形で行われるだろう。

2015年4月以降、仮に政府の国債発行額が経済に比して減額されているとしたら、GIBは政府の信用なしで、自分自身の信用で借入を行うことができるだろう。その際、GIBは、独自の「グリーン債権」を発行するかもしれない。GIBの拠点はブリストル、ロンドン、エジンバラのいずれかに置かれる見通しだ。

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The bank will employ 50 to 100 people and be based in Bristol, London or Edinburgh.