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インドネシア 日本の官民主導の石炭火力発電所建設 抗議の住民1000人がデモ 三井住友、みずほなど融資(各紙)

2013-07-05 21:58:57

中ジャワ州環境局前で抗議デモを行う中部ジャワ発電所建設に反対する地元住民ら=インドネシア中ジャワ州のスマランで2013年7月5日午後、環境保護団体「リーガル・エイド」提供
中ジャワ州環境局前で抗議デモを行う中部ジャワ発電所建設に反対する地元住民ら=インドネシア中ジャワ州のスマランで2013年7月5日午後、環境保護団体「リーガル・エイド」提供
中ジャワ州環境局前で抗議デモを行う中部ジャワ発電所建設に反対する地元住民ら=インドネシア中ジャワ州のスマランで2013年7月5日午後、環境保護団体「リーガル・エイド」提供


インドネシアのジャワ島で、日本政府と日本企業が官民一体で推進しようとしている石炭火力発電所計画に反対する地元住民ら1000人が、ジャワ州の州都スマランにある環境管理局前で5日、抗議のデモを行った。総事業費40億㌦の大プロジェクトで、電源開発(Jパワー)、伊藤忠商事などが出資するほか、三井住友銀行、みずほ銀行、国際協力銀行(JBIC)などがプロジェクトファイナンスで資金提供を決めている。

同発電所は完成後の発電量がアジア最大級となる。しかし、計画を巡っては、環境破壊を懸念する住民の一部が当初から強く反発している。今も事業会社との交渉を拒否している。一方、事業会社や政府は10月着工を厳守するとしており、反対派との対立が更に先鋭化する恐れがある。

この日のデモでも、住民らは「バタンの発電所を断固拒否する」と強くアピールした。建設予定地や周辺の住民らは州の環境管理局のある建物を取り囲み、声を張り上げた。住民らの要求は(1)計画の即時取り消し(2)環境影響評価の発行差し止め(3)国軍や事業会社社員による用地売却強要の中止−−の3点。

インドネシアでは、環境や周辺社会に影響を及ぼす可能性のある大規模開発事業を行う際、事業計画者は所管官庁に計画書を提出し、審査を受ける手順が定められている。承認後、環境影響評価書が発行され、所管官庁の大臣、または州知事が事業許可を出す。中部ジャワ発電所を巡っては、地元の環境管理局長が今月1日、「8月にも計画書が承認される」と発言したことから、反対派住民や環境保護団体が「環境管理局は中立ではない」と反発、今回の抗議デモとなった模様だ。

これに対して事業会社は5月、建設用地の8割の買収が完了したと発表している。今年10月の着工に向け、現地で地質調査や周辺道路の整備などを進めている。しかし反対派住民は「事業許可の取得前にすでに作業を開始しており、これは明らかな違法行為」と非難している。その対象には、売却に反対する地主の土地も含まれているとして警察に通報するとしている。一方、事業会社の現地責任者は、「取得済みの土地のみで作業しており合法」と反論している。

同事業は、日本の経済産業省が官民一体の海外インフラ展開事業のモデルケースと位置付けて推進している。総事業費40億ドル(約3130億円)の巨大プロジェクトで、インドネシア側は石炭大手アダロ・エナジー が出資、経済成長を受けて不足気味の国内電力需要を補う重要プロジェクトとしている。日本側はJパワーや伊藤忠商事が出資するほか、すでに三井住友銀行をファイナンシャルアドバイザーとしてJBICはみずほなどと協調融資団を構成、30億㌦の融資契約を結んでいる。

 

参考記事:

毎日:http://mainichi.jp/select/news/20130706k0000m030058000c.html

Bloomberg:http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MBNVCZ6K50YZ01.html