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最新「CSR企業ランキング」金融トップ30  1位日本興亜、三菱UFJは4位、地銀では滋賀銀が健闘(東洋経済)

2014-05-30 22:28:42

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食事代金から1食20円を寄付するプログラムにも参加するなど、NKSJグループのCSRは多種多様。社員参加型のものもあり、CSRには定評がある。2014年9月には損害保険ジャパン日本興亜が誕生する予定
食事代金から1食20円を寄付するプログラムにも参加するなど、NKSJグループのCSRは多種多様。社員参加型のものもあり、CSRには定評がある。2014年9月には損害保険ジャパン日本興亜が誕生する予定


東洋経済新報社は2014年版CSR企業ランキングをまとめた。このうち、金融機関のランキングでは、1位に日本興亜損害保険が輝いた。金融機関のランキングは、一般事業会社とは勘定項目が異なることもあり、財務部門を除いた形でデータを作成されている。そのため総合ランキングには加えていないが、日本興亜の得点は、総合ランキングにあてはめても一、二位を争う高得点。

※最新のCSR関連ランキングはこちら
総合ランキング  部門別ランキング  業種別ランキング


ブータンなど、世界で金融技術を広める日本興亜


 

1位は日本興亜損害保険(280.4点)。人材活用90.8点(全体26位)、環境94.2点(同32位)、企業統治+社会性95.4点(同23位)といずれも高得点。同社は活動のマテリアリティ(重要性)のひとつに「金融機能を活かした社会的課題の解決」を掲げ、本業でのCSR活動に力を入れる。

ブータン王国で保険引き受けや再保険スキーム、保険金支払い業務等での人材派遣といった技術支援を実施。中国でも広東省の中山大学保険学科で実務の講演を行い、中国での保険普及及び発展に努める。気候変動で自然災害が増加すると事業活動に大きな影響があるという考えのもと、地球環境保全の取り組みにも力を入れる。環境会計の作成による「見える化」や、全国4カ所での森林整備活動および環境教育も展開する。


15年度末の女性管理職比率10%達成は可能?


 

人材活用でも妊娠・育児・介護を目的とした短時間勤務制度など充実した諸制度がある。一方で、2012年度の有給休暇取得率は45.9%と低く、ボランティア休暇の取得者ゼロなど一部数字がついてきていないところもある。

女性社員比率は高いものの、女性管理職0.4%、同部長職1.3%と女性活用は後れている。今年9月に合併する損害保険ジャパンも同管理職3.4%、同部長職0.6%と低い。両社はこの状態で15年度末の女性管理職比率10%を目標に掲げているが、常識的に考えると達成困難と言わざるをえない。

数字合わせができないこともないだろうが、将来問題が起きる可能性もある。本当に女性活用を進めていくのなら、着実に一歩一歩といった姿勢が必要だろう。

いずれにせよ、2014年9月には「損害保険ジャパン日本興亜」として再スタートを切る。ともにCSR活動には定評がある両社が一緒になることで、さらに高いレベルを期待したい。


環境活動が充実している第一生命


 

2位は昨年金融トップの第一生命保険(276.7点)がランクダウン。人材活用96.1点(同7位)、環境88.4点(同108位)、企業統治+社会性92.2点(69位)といずれも高得点だ。

女性が多い職場ゆえ、育休、短時間勤務、在宅勤務などのワーク・ライフ・バランス関連の制度は整えられている。女性管理職比率18.2%、同部長比率2.6%など比率も高い。さらに、環境担当執行役員の設置、環境会計作成など、金融機関としては際立った環境活動の充実ぶりだ。

以下、3位に損害保険ジャパン(275.8点)、4位三菱UFJフィナンシャル・グループ(270.4点)、5位東京海上ホールディングス(270.1点)と続く。

上位は保険業が多い。メガバンクは4位の三菱UFJフィナンシャル・グループ、地銀では20位の滋賀銀行(227.8点)がトップ。証券は12位野村ホールディングス(253.1点)、その他金融は10位リコーリース(260.2点)がトップだった。


製造業とは違う土俵でCSR推進を


 

日本では、「CSRの中心テーマのひとつは環境活動」というイメージが依然強く、金融機関がこの分野で大きな貢献をすることは簡単ではない。金融機関のCSR活動は、製造業とは違った土俵で、各社の得意分野に絡めた取り組みを行うことが望ましいだろう。

たとえば、地方銀行なら本業を生かして、地元の活性化を図るといったことなどが考えられる。それぞれの業種にあったCSRを進めていくことが、結果的に日本のCSR活動の発展に結び付くはずだ。