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銀行の石炭事業向け投融資ランキング トップの座は2005年以来の累積ではJPモルガン、最近3年では中国建設銀行 日本勢は三菱UFJグループが14位(FGW)

2014-11-15 01:57:12

coalbankキャプチャ
coalbankキャプチャ国際金融NGOのBankTrack (本部オランダ)は、温暖化加速の元凶である石炭火力発電事業に対して資金供給してきた銀行と石炭開発企業のランキングを発表した。

 

対象となった金融機関は、世界各国から92の商業銀行と、石炭開発・石炭火力事業者93社を対象に実施した。対象金融機関は2005年から今年4月までの間に、総額で3730億ユーロ(約5000億ドル=約57兆5000億円)を石炭開発および石炭火力発電事業に2283の投融資契約で資金供給したという。92銀行のうち上位20行が全体の73%の取引を実施した。

 

銀行の石炭火力関連企業向け融資は近年に増加しており、2013年は単年としては過去最高の660億ユーロ(880億㌦=約1兆1200億円)の投融資額を記録した。この金額は、2005年の4倍増に膨れ上がっている。

 

銀行別では、2005年以来の累積投融資額は、米銀のJPMorgan Chaseがもっとも投融資額が多く、次いで同じく米銀シティ、続いて英国のRBS, バークレイズの2行が多かった。 日本では三菱UFJフィナンシャル・グループが14位にカウントされた。coalbank2キャプチャ

 

近年の顕著な傾向は、先進国銀行だけでなく、中国系銀行の投融資額が急増している点だ。2011年から今年4月までの直近3年半に絞ってみると、上位20行のうち、トップ3すべてを中国系銀行が抑え、さらに20行のうち6行が中国銀行という突出ぶりをみせている。2005年以降の全体でみると、中国系銀行はトップ3には入らず、20行全体でも4行だけだった。

 

国別でみると、中国系銀行が全体の石炭関連投融資の28%を占め、次いで米国23%、英国11%となっている。この3カ国だけで、2011年~2013年の銀行全体の石炭火力向け投融資額の62%を占めている。

 

世界銀行や欧州投資銀行などの国際公的金融機関は、最近、相次いで石炭火力向けファイナンスを停止する政策を導入している。しかし、商業銀行は、まだそうした政策の明確化には至っていない。BankTrackは、どの国の銀行も、自らの投融資から石炭火力向けの直接、間接の投融資を除外する政策を採用すべき、と提言している。また融資にとどまらず、石炭関連”ダーティー企業”の株や債券引き受けなどの除外も求めている。

 

また銀行は投融資先のCO2排出量についても計算して情報開示することも求めている。国連の気候変動枠組条約締約国会議(COP)で進められている国際的な温暖化対策の枠組み協議では、こうした投融資先CO2の急減が求められるべきだとしている

 

The rise of the Chinese banks

 

2011年以降でもっとも顕著だったのが、中国の銀行の投融資残高の急膨張である。石炭関連投融資が多いグローバル20行のうち、2011年以降では、中国系銀行が6行を抱えるまでになっている。

一位が国営建設銀行、二位が中国興業銀行、三位も中国銀行と、トップ3を独占した。各行とも中国国内での石炭火力事業に力を入れている。これら3行は二〇一一年のランキングでも20位以内に入っていたが、いずれも20行の下のほうだった。

 

2013年の20位ランキングでは、トップ3が中国系銀行であるだけでなく、中国農業銀行も10位で、中国発展銀行が13位、中国商業グループが17位と、それぞれが躍進している。中国の銀行が、石炭向け投融資を再生可能エネルギー向け事業などにスムーズに切り替えることができるかも焦点だ。日本勢では累積で三菱UFJフィナンシャル・グループが14位につけ、近年3年では12位となっている。

 

http://www.banktrack.org/download/banking_on_coal_2014_pdf/banking_on_coal_2014.pdf