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BankTrackなど国際NGO 大手金融機関の石炭火力向け投融資の2015年格付け。日本の3メガバンクそろってシングルC(FGW)

2015-05-06 20:46:30

banktrackcoalキャプチャ
banktrackcoalキャプチャ地球温暖化の元凶となっている二酸化炭素(CO2)を大量排出する石炭火力などへの投融資資金の流れを監視している国際環境NGOの主要3団体が、2015年の年次報告書(The End of Coal?(石炭火力の)終わりの始まり)」と題した「Coal Finance Report Card 2015」を公表した。

 

レポートを公表したのはBankTrackのほか、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、シェラクラブの3団体。5年前から毎年、主要な国際金融機関の石炭産業や鉱業開発などへの投融資状況をウォッチするレポートを発行している。調査は日米欧中の26主要金融機関の石炭関連投融資を比較分析したもの。

 

それによると、2014年の主要金融機関による石炭関連の投融資総額は1440億㌦で、前年(2013年:1450億㌦)とほぼ横ばいだった。2020年以降の地球温暖化対策の焦点になるとみられているのが化石燃料の中でもCO2排出量の多い石炭火力発電関連の動向。

 

1440億㌦の内訳は、696億2000万㌦が、石炭鉱山開発への投融資で、前年より約140億㌦、増加した。一方、石炭火力発電所建設の投融資は743億9000万㌦で、こちらは前年より約150億㌦分減った計算だ。全体の融資額は横ばいだが、自然破壊を増大させる露天掘り事業への投融資を中断宣言する欧米の金融機関が増える一方で、増大するエネルギー需要を抱える中国は積極的な投融資を続けるなどの変化が起きているという。

 

国際NGOでは、主要金融機関の投融資状況等を公開するとともbanktrackcoal2キャプチャに、それぞれに環境への影響、人権侵害の有無、をレーティングして公表している。対象の金融機関に日本から選ばれたのは、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3メガバンク。環境・人権の両方とも格付けはシングルCで差はなかった。シングルCは、銀行独自の環境施策の策定やプロジェクトファイナンスの環境・社会配慮原則であるエクエーター原則の署名等はしているが、プロジェクトファイナンス以外の一般投融資での環境配慮が十分でなかったり、石炭火力の露天掘り事業向けには投融資しない原則を明言するなどの、積極的な対応までには至っていないレベルが対象となる。

 

石炭鉱山開発向けで、もっともいい格付けを得たのは、環境配慮分野でのバンクオブアメリカのトリプルB。英バークレイズと仏BNPパリバがシングルB。ただバンクオブアメリカも石炭火力向け融資の人権配慮ではFail(失格)の烙印を得ている。

 

また石炭火力向け投融資では、仏BNPパリバと仏クレディ・アグリコの仏系2行がシングルBを所得。その他は、いずれもCレベルだった。

 

失格の烙印のFailが目立ったのは中国の金融機関。石炭鉱山開発向けと石炭火力向けの両方で、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行の3行が、環境、人権とも失格扱いとなった。

 

 

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