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9電力への長期貸出金融機関、日本政策投資銀行がダントツ。全体の約3割融資(FGW)

2011-03-15 17:31:01

東京電力をはじめ、原発を保有する9電力(沖縄電力を除く)に対する長期貸出金残高は、2010年3月末時点で4兆9000億円あるが、このうち約3割に当たる1兆4000億円を日本政策投資銀行が貸し出している。電力会社の原発比率は約30%だから、政投銀の貸出残高のうち約4700億円が原発向けという見方もできる。ただ、電力会社の資金調達では、長期借り入れよりも社債発行による調達が多い。

2009年度有価証券報告書(2010年3月末時点)に基づいて、9電力の負債サイドを調べると、長期借入金は総額で4兆9000億円、社債発行額は12兆2600億円。大手金融機関は長期貸出のほか、社債の大口引き受け手でもあるが、引受額の開示情報は電力会社の資料ではわからない。

 大口貸出先ごとにみると、政投銀が9電力すべてに対して大口の長期資金を貸し出しており、そのうち四国電力を除く8電力では、トップの借入先となっている。今回、福島原発事故を引き起こした東京電力に対する同銀行の長期貸出額は3500億円で、9電力の中でももっとも多い。

 同銀行以外では、大手生保が各電力に対する上位の長期貸し手として登場している。日本生命が東電、関電などを中心に4700億円の残高を抱えるほか、住友生命、第一生命なども上位に名を連ねる。日生、住生、第一生命、明治安田の4大手生保全体で、9200億円強の残高となる。生保は社債の大口引き受けてでもある。生保各社は同時に、大口株主でもある。特に日生は、9電力すべての上位ランキングに登場する。

 株主構成では、地方自治体の大口保有も目に付く。東電では東京都が3.15%の保有割合を占めるほか、関電では大阪市が8.85%で筆頭株主になっている。また神戸市も2.89%を保有。東北電力では仙台市が1.03%、宮城県が0.88%を保有している。