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経団連の自民党政治献金再開。大手銀行の対応分かれる。メガ3行は「社会貢献」を強調、三井住友信託、りそなは再開せず(RIEF)

2015-12-24 18:07:19

bankキャプチャ

 経団連による自民党の政治献金再開が広がる中で、金融界の対応に差が出ている。みずほフィナンシャルグループが先週、18年ぶりに献金再開を表明し、他のメガバンクも追随する姿勢だが、三井住友信託銀行と、りそなホールディングスは献金しない構えという。

 

 大手銀行は1990年代後半の金融危機時に公的資金注入で救済されたことから、98年以降、政策決定に影響力を持つ政党への献金は見合わせていた。しかし、最近になって、経団連が「社会的貢献」として政治献金再開を表明したことから、みずほは18年ぶりに他の大手企業と同調することを決めた。三菱UFJフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループも同様に再開する方針と伝えられている。

 

 メガバンクの献金額はいずれも2000万円前後とみられている。これに対して、三井住友信託銀行は、朝日新聞の取材に対して常陰均社長が、献金再開を見送る考えを示したという。りそなホールデングスも同様の姿勢という。

 

 三井住友信託銀行の場合、常陰社長のコメントとして、政治献金を社会貢献と位置づける経団連の姿勢に対して「考え方は賛同する」としたうえで、公的資金返済から2年半程度しか経っていないこと、「(献金に対する)お客様のとらえ方などを踏まえ、総合的に判断した」などと説明している。りそなも今年6月に公的資金を返済したことを理由としているようだ。

 

 銀行界の政治献金自粛は公的資金に支えられた経営の成果を、政策決定権を持つ特定の政党に還元する形になっては、国民の理解が得られないとのスタンスで説明してきた。このことからすると、2行の行動は、公的資金返済から一定の時間を経ていない、という点でこれまでの銀行の自粛姿勢を踏まえているといえる。

 

 ただ、もう一つの「政治献金は社会的貢献」という経団連の説明は、各銀行が実施している社会貢献活動との整合性をどう図るかという課題が出てくる。各行はCSR報告書で社会的貢献活動を紹介しており、それらの中に政党への政治献金も位置づけることになる。この点では、他の経団連参加企業も同様の評価を問われる。政治献金は、一国の政治への関与となるため、社会貢献活動とするならば、記載しないわけにはいかない。

 

 その場合、政治献金が社会貢献活動であることの説明も必要になる。2000万円規模は、銀行の支出としては「たいしたことはない」かもしれないが、社会貢献関係の支出としてみると、それなりの金額になる。このため金額と社会的な意義についての説明を開示しないと、NGOや海外の投資家から問われる可能性も出てくる。IRでアナリストへの説明も求められる。