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全国銀行協会 自然災害時の個人住宅ローンや個人事業性ローンの債務整理のガイドライン制定。法的整理によらない救済措置のルール化(RIEF)

2016-01-08 22:08:07

zenginkyoキャプチャ

 全国銀行協会は、台風や地震等の自然災害によって住宅ローンを借りている個人や事業性ローンを借りている事業者が、債務支払い困難に直面した場合に、金利減免や債務免除等の救済措置を実施するためのガイドラインをまとめた。

 

 2011年3月11日の東日本大震災の被害を受けた個人債務者を対象とする救済策として「個人債務者の指摘整理に関するガイドライン」(個人版私的整理ガイドライン)が実施されている。今回のガイドラインはそれと同様の仕組みを、全国で発生する自然災害全体に適用する。地球温暖化の進展で、各地で気候変動が激化していることも、背景にあるといえる。

 

 ガイドラインは、全銀協が組織した「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン研究会」(座長:富永浩明法律事務所弁護士)がまとめた。昨年9月の茨城県を中心に大規模な洪水被害をもたらした「関東・東北豪雨」の被災者も今回のガイドラインの対象となる。

 

 ガイドラインは、災害救助法の適用を受けた自然災害によって、住宅ローンや事業性ローン等の債務を弁済できないか、あるいは近い将来弁済できないこ とが確実と見込まれる個人や個人事業主を対象とする。

 

  一定の要件を満たした個人の債務者に対して、債権者との合意にもとづいて、法的倒産手続によることなく、特定調停を活用した債務整理を 公正かつ迅速に行うルールを整理した。

 

 既存の個人版私的整理ガイドラインの場合は、弁済計画案の確認などを行う第三者機関として運営委員会を置いている。だが、今回のガイドラインではそうした機関は置かず、簡易裁判所の特定調停手続きと、弁護士などの「登録支援専門家」による手続き支援を定めている。第三者機関では、災害救済という緊急を要する事態に即応できないことが、東日本大震災の処理でも指摘されたことなどを踏まえた対応だ。

 

ガイドラインは「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(別紙1) とその運用に当たっての実務上の指針となるQ&A(別紙2)を公表している。

 

 全銀協は、今回のガイドライン制定によって、「債務者の債務整理を円滑に進め、債務者の自助努力による生活や事業の再建を支援し、ひいては被災地の復興・再活性化に資することが期待される」としている。

 

http://www.zenginkyo.or.jp/abstract/disaster-guideline/