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三井住友フィナンシャルグループ リテール業務での「顧客本位」を対外的に約束する「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)宣言」を公表(RIEF)

2016-04-02 16:54:09

SMBCキャプチャ

 

 三井住友フィナンシャルグループは顧客の資産運用・資産形成において、銀行と証券両分野のリテール業務の一体提供をより深め、「顧客本位」の姿勢をグループ全体で示す形で、「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)宣言」を行った。

 

 受託者責任とは、他人の資金を管理・運用する者が、自らの利益ではなく受益者の利益のために行動することを担保するための概念。わが国の金融機関が、グループ全体で受託者責任を顧客向け経営の柱と位置付けて対外的に宣言することは珍しい。

 

 宣言の内容は、資産運用、資産形成事業において顧客の「ベストパートナーズ」として接する、として4つの取り組みの柱を掲げている。

 

 ①顧客のニーズを踏まえた商品の開発②提供する情報の充実、分かりやすさの向上③顧客本位の販売態勢の整備④顧客への最高水準のサービス提供を目指し、態勢整備を含め、不断の努力を続ける――というもの。

 

 宣言の取り組みを実践する対象として、三井住友銀行、SNBC信託銀行、SMBC日興証券、SMBCフレンド証券、みなと銀行、関西アーバン銀行の6金融機関をあげている。

 

 具体的な「受託者責任」を踏まえた金融商品・サービスの内容は、各金融機関が独自に開発・提供する。たとえば三井住友銀行の場合、①の商品開発については、リスクを抑えたい投資家向けに、低リスク商品や積立型商品、比較的手数料の低い商品の開発などのラインナップを多様化していくとしている。

 

 また顧客への最高水準のサービスの提供のため、アンケート等で顧客の声をサービス向上に反映させるほか、店頭以外のスマホアプリやホームページなど多様なチャネルを整備するほか、顧客のライフサイクルに応じた商品・サービスを提案していくなど。

 

 宣言自体は金融機関としての決意表明として評価されよう。だが、取り組みの内容については、特に新味あるものはあまり見当たらない。受託者責任の考え自体、最近は変化がみられており、それへの対応も不明だ。

 

 国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブ(FI)などは、同原則の考え方について、金融サービスにおいて受託機関が受益者の経済的利益のために行動するだけではなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)の向上にも配慮する方向性を打ち出している。

 

 こうした新しい考え方を踏まえると、気候変動問題への積極的な対応商品・サービスの提供のほか、顧客にとって使い易い苦情・紛争処理メカニズムの整備、人権配慮、コミュニティ配慮などの分野での新たな取り組みをリードするような「一歩進んだ決意」を期待したいところだ。今後の発展を望みたい。

 

http://www.smfg.co.jp/news/j110051_01.html