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JICAと米州開発銀行(IDB) 中南米でのインフラ投資拡大で合意。2020年までに30億㌦の円借款供与(RIEF)

2016-04-11 12:30:36

JICAキャプチャ

 

 日本政府と 国際協力機構(JICA)は、中南米で質の高いインフラ投資を進めるため、JICAと米州開発銀行(IDB)との協調融資を拡大することで合意、覚書と実施合意書に署名した。

 

 先週バハマの首都ナッソーで開いたIDB年次総会で、JICAの入柿秀俊理事とルイス・アルベルト・モレノIDB総裁が署名調印をした。

 

 IDBとJICAの協調調融資の枠組みを拡大するとともに、日本政府が出資してIDB内に500万㌦(約5億円)の基金を設け、優良なインフラ案件を発掘するための調査や準備活動を実施するという。

 

 IDBとの協調融資枠は2012年3月に、中米・カリブ地域における再生可能エネルギー開発及び省エネルギー促進を目的として、5年間(2012年度~2016年度)で合計3億㌦の円借款供与を目的に創設されたのが始まり。協調融資が順調に推移したことから、2014年3月に円借款供与の目標額を合計10億㌦に引き上げた。

 

 今回の合意で、2020年度までに合計30億㌦の円借款供与目標に引き上げる。今回の協調融資拡大では、質の高いインフラ投資促進の観点から、対象国には従来の中米・カリブ地域のほか、インフラ整備需要の大きいブラジル、ペルーなどの南米地域やメキシコが新たに加えた。また、対象分野も、従来の再生可能エネルギー、省エネルギー関連のほか、エネルギー効率の改善に役立つ運輸や水・衛生関連事業も加えた。

 

 JICAとIDBの協調融資枠は、IDBの枠組みの中では最大規模となる。また今回の協調融資枠の拡大の分野は、COP21で日本政府が表明した気候変動資金の供給の一環と位置づけられる。

 

 中南米にはブラジルやメキシコ、コロンビアなど成長が有望視される途上国が多く、大きなインフラ需要を見込める。財務省は年3000億㌦程度の需要を見込んでいる。JICAは今回の連携を機に、交通や発電、エネルギー関連のインフラを中心に投融資を進める。

 

 ただ、中南米ではダム建設などで自然保護や住民権利との調整問題がいくつか発生している。JICAが関与するインフラ・プロジェクトにおいても、環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を明確にして推進する必要がある。JICA・IDBの協調融資に民間金融機関が加わる形も増えるとみられるが、その場合も、民間のエクエーター原則(赤道原則)を踏まえた対応が求められる。

 

http://www.jica.go.jp/press/2016/20160411_01.html