HOME4.市場・運用 |鹿児島銀行 県内に設立するIHI主導の大型木質バイオマス発電所向け総額235億円の協調融資を主導へ。日本政策投資銀行なども参加。発電燃料は大半が輸入パーム油ヤシ殻で、「熱帯林伐採リスク」が課題(RIEF) |

鹿児島銀行 県内に設立するIHI主導の大型木質バイオマス発電所向け総額235億円の協調融資を主導へ。日本政策投資銀行なども参加。発電燃料は大半が輸入パーム油ヤシ殻で、「熱帯林伐採リスク」が課題(RIEF)

2016-05-30 22:01:35

PKSキャプチャ

 

 鹿児島銀行は、IHIが鹿児島県内で主導する木質バイオマス発電所計画に出資するとともに、総事業費235億円をプロジェクトファイナンスの形で、日本政策投資銀行や他の地銀等と協調融資する。

 

 対象事業は、IHIが鹿児島市七ツ島にある同社保有地約6万2,000㎡に建設する木質バイオマス発電所。2018年後半に稼働する予定。出力規模は49MWで、年間発電量約33万7000MWh。一般家庭の年間電力消費量約7万7000世帯分を発電できる。

 

 事業会社は「七ツ島バイオマスパワー合同会社」。資本金5億円で、鹿児島銀とIHIのほか、東京センチュリーリース、九電工、鹿児島海陸運送、島津興業、南国殖産、日本瓦斯、九電みらいエナジーの合計9社が出資し、このほど設立された。

 

 発電燃料は、8割近くを東南アジア等から輸入するパーム油ヤシ殻(PKS)で、それ以外も輸入の木質ペレットを使う。鹿児島県内の山林からの間伐材は「数%くらい」(IHI)という。発電した電力は固定価格買い取り制度(FIT)で全量を九州電力に売電する。

 

 木質バイオマス発電所は再生可能エネルギーの一つとして、政策支援があるFITの対象だ。だが、太陽光発電や風力発電と異なる点が二つある。

 

 一つは、太陽光などは純粋な自然エネルギーだが、PKSや輸入木質ペレットを燃料とする場合は、輸送時に追加的なCO2排出量が発生する。しかし、現行のFIT制度では、こうした追加CO2の発生量を評価していない。

 

 もう一つは、インドネシアやマレーシアなどで大規模に展開されるパーム油植林事業が熱帯林伐採を加速しているとして、環境団体や現地住民などから批判が出ている点だ。パーム油農園での過剰労働という社会問題も指摘されている。

 

 バイマス発電所が燃料とするPKSは、パーム油ヤシの廃棄物であるヤシ殻を有効活用するものだ。だが、ヤシ栽培そのものが環境・社会両面の現地の事情から抑制されると、廃棄物も将来、十分に確保できるかはわからない。

 

 木質バイオマス発電の事情は、燃料をどこから、どう確保するかにかかっている。

http://www.kagin.co.jp/library/pdf_release/newsh280527_092.pdf

https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2016/press/2016-5-26/index.html