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日本政策金融公庫、「アベノミクス第三の矢」支援の創業融資制度、目玉の「太陽光発電事業」への融資は、件数、金額とも大幅減少。経済産業省のFIT買い取り価格連続引き下げが影響(各紙)

2016-06-13 09:05:59

solarキャプチャ

 

 各紙の報道によると、日本政策金融公庫が実施している2015年度の発電所向けの創業融資は前年度比65%減の1259件、融資金額も66%減の211億円にとどまった。大半が太陽光発電向けで、初の減少となった。

 

 創業融資全体の件数は2万6000件で、日本公庫としては過去最多になった。太陽光発電向けの融資が急減した原因は、太陽光発電事業参入の最大の利点だった固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り価格が毎年低下し、創業意欲が低下した点だ。

 

 FITの10kW以上の買い取り価格は、14年度は1kW時当たり32円(税別)から、15年度には4~6月は同29円、7月以降は27円へと下がり続け、新規参入の創業企業にとって参入意欲を低下させた。さらに16年度からは24円に下がった。

 

 また経済産業省は、法改正によって、17年度以降は太陽光発電の買い取り価格を入札制に切り替える。このため、設備資金負担を抱える新規市場参入者にとっては、創業意欲が一段と低下する環境に転じることになる。

 

 創業融資を業種別にみると、伝統的な業種である美容業が1994件と全体の8%を占め最多になった。次いで、酒場・ビアホール(6%)、貸家業(5%)の順。太陽光を軸とする発電所は貸家業と同じ5%だが、14年度は3549件と、全体の14%を占める最多業種だったのに、一気に9ポイント低下したことになる。

 

 日本政策金融公庫の創業融資は、アベノミクスの「第三の矢」を後押しする制度として発足したが、結局、太陽光発電を主とする再生可能エネルギー事業の新たな事業創出への支援については、中途半端な形で終わろうとしている。

 

https://www.jfc.go.jp/