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金融庁 地方銀行向けに「地域経済への貢献度」を評価する定量指標導入。52項目の「地域融資の通知簿」。今夏から適用(各紙)

2016-06-28 11:23:35

kinnyuchoキャプチャ

 

 各紙の報道によると27日開いた有識者会議で、地方銀行の地域経済への貢献度を評価する新たな指標の導入を説明した。52項目の指標からなり、地銀の地域貢献度が横並びで把握できる仕組み。いわば「地域融資の通知簿」でもある。達成度について金融庁が個別に各地銀と協議し、指導するという。今夏から実施する。

 

 指標は同日開いた「金融仲介の改善に向けた検討会議」で紹介された。地元企業への融資実績、担保や保証なしの融資実績などの定量的な指標を「ベンチマーク」として設定、その中から各地銀が取り組む項目を選んで、その達成度を金融庁と協議する。金融庁は、定量的なデータと他行との横並び比較を踏まえて、各銀行に対して、金融仲介機能の十分性を評価、指導する。

 

 評価項目は地銀自体が選ぶが、項目ごとの実績については地銀が自主的に開示する。現在は52項目だが、最終的に項目数が増える可能性もあるという。

 

 地銀が、地元企業のメーンバンクとして取引している場合も、その取引数だけではなく、それらのメーン先企業のうちで経営状態が改善した件数や、無担保で融資している企業の件数なども開示基準に盛り込んでいる。これらにより、地域金融の具体的な姿がこれまで以上に明瞭になるとみられる。

 

 また融資先企業を、創業時から成長時、その他と期間別に分類して、それぞれの企業の成長段階に応じた融資額なども開示対象となる。地域創生に力を入れているかどうかもわかる。銀行はそれぞれのビジネスモデルに合わせて52項目の中から複数の指標を選び、取り組み状況を金融庁に報告する。

 

 指標に基づく定量データの開示は自主的としているが、実際は金融庁の指導によるものだけに、銀行側は免れるわけにはいかない。他行も開示する共通項目について開示対象外とする場合は、なぜそうかを問われることになり、実質的には共通の開示基準となるとみられる。

 

 金融庁は開示された定量データをもとに、銀行側との対話を強化する。これまで金融庁は地銀が抱える既存の貸金の不良債権化を防ぐことに注力してきた。だが、今回は一転して、新たな創業支援やベンチャー発掘、無担保融資など、積極的な貸し出し姿勢を評価する形となる。

 

 銀行側は、数値実績の伸びや他行との横並び比較をされることになり、否が応でも、数値の改善に取り組むインセンティブが働く可能性がある。ただ、一方で、新規貸し出しに伴う不良債権比率の上昇の懸念もある。また地域によっては実際に資金の借り手不足が深刻なところもあり、無理やり数値向上のための貸し込みが増えると、超低金利で利ザヤ収益が細っている銀行経営への負担を増す可能性もある。

http://www.fsa.go.jp/singi/kinyuchukai/index.html