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肥後銀行(熊本) 従業員の過労自殺の賠償責任を巡り、遺族が株主代表訴訟提起へ。経営役員の従業員に対する「ワークライフバランス責任」を問う(各紙)

2016-09-06 00:07:19

higoginkoキャプチャ

 

 各紙の報道によると、肥後銀行(熊本市)に勤務し過労自殺した男性(当時40歳)の妻が、当時の役員11人の経営責任を問い、合計約2億6000万円を銀行に賠償することを求めた株主代表訴訟を7日に起こすことがわかった。

 

 男性は為替などのシステムを更改する業務を担当していた2012年10月、本店の7階から投身自殺した。妻ら遺族は銀行に損害賠償を求めて提訴。熊本地裁は2014年10月、長時間労働の末にうつ病を発症して自殺したと認め、銀行側が「注意義務を怠った」として、約1億3000万円の支払いを命じる判決を出した。

 

 男性の勤務時間は、死亡する直前4カ月間の残業時間は月113~207時間と推計された。判決では、「銀行は男性の勤務が長時間になっていることを認識できたにもかかわらず対応を怠った」と指摘していた。

 

 また同事件では、自殺から5か月後に熊本労基署が労災認定したうえで、「労使協定を上回る時間外労働をさせた」として、肥後銀と同行役員や部長ら計3人を、労基法違反(長時間労働)容疑で熊本地検に書類送検している。

 

 14年の熊本地裁の判決に対して銀行は控訴せず、賠償金を支払った。妻は男性が保有していた株式を相続しており、今回は株主の立場で株主代表訴訟を起こす。銀行が支払った賠償金や「信用を失ったことによる損失分」など、銀行が被った損失の補填を経営陣に求める形だ。

 

 妻は今年6月、銀行役員に対して、経営陣への損害賠償を求めるよう提訴請求した。しかし、銀行側は8月に入って、当時の役員に賠償を求めない考えを妻側へ通知。その中で、当時の役員に義務違反や賠償責任はないと反論していた。

 

 遺族側は新たな訴訟を通じて、従業員の過労死防止の責任が、経営陣にあることを明確にするのが狙いとしている。代理人の松丸正弁護士によると、過労死や過労自殺を巡る株主代表訴訟は全国初めてという。

 

 肥後銀行は「現段階では何もコメントできない」としている。

http://www.higobank.co.jp/