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地球温暖化対策のパリ協定 来月に発効確定へ。欧州連合(EU)が来月中の批准スケジュールを設定。日本は発効確定後の「出遅れ批准」の公算濃厚に(RIEF)

2016-09-26 22:37:42

EUキャプチャ

 

 地球温暖化対策のパリ協定が来月中に批准条件を満たし、年内に発効することが固まった。加盟国間の調整が課題となっていた欧州連合(EU)が、10月中に批准するスケジュールを設定できたためだ。日本政府も臨時国会での批准を目指しているが、発効が決まってからの「出遅れ批准」という事態になりそうだ。

 

 パリ協定の発効には、批准国が世界全体の55%を占め、その合計温室効果ガス量が世界の総排出量の55%以上を占める条件を満たす必要がある。現在は、米中など60カ国が批准し、国数基準を満たしている。排出量基準は47.76%だが、インドが批准を表明したことで51.86%となる予定。これにEU28カ国が加わると、その排出量は12%なので、一気に排出量基準も55%を上回り、達成される。

 

 EUの来月批准の見通しは、欧州委員会の担当委員のMiguel Arias Canete 氏がこのほど、批准へのスケジュールを示し、明らかにした。まず、今月末の30日に特別閣僚会議を開催して合意、もう一方の政策決定プロセスの欧州議会も10月第一週に開く議会で承認、それを受け改めて閣僚会議が最終決定する手順を設定したという。

 

 ただ、これまでEUは2030年までに温室効果ガスを40%削減(1990年比)の目標から、世界の気温上昇を産業革命前からの1.5℃上昇にとどめるため、50%削減に踏み出す方針を示していたが、この上乗せ削減目標の設定については、2018年までに扱いを決めるとして先送りするという。

 

 これは、ポーランドなどが排出規制の追加的な強化に懸念を示していることに配慮したものだ。当初の方針通りだと、40%削減目標での合意にも時間がかかり、年内批准に至らないとみられていた。一方で、10月にEUが批准すると、EUの批准によって協定発効が決まることになり、EUのリーダーシップを世界に強調できる点も各加盟国の賛同につながったようだ。

 

 すでにこれまでEU加盟国において国内議会等での批准手続きを完了しているのは、ドイツ、フランス、オーストリア、ハンガリー、スロバキアの各国となっている。EU離脱を表明している英国もパリ協定への批准は、EU加盟国として行うことをメイ首相が宣言している。

 

 EU域内では、経済成長との兼ね合いで排出量削減が容易ではないポーランドに対しては、欧州議会の審議の中で、同国のエネルギー改革を促進するための補助金の承認等が想定されている。

 

 日本政府は臨時国会において、協定批准を行う予定だが、追加経済対策の審議等によって、批准が後回しにされるリスクもある。

https://europa.eu/european-union/topics/climate-action_en