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国際協力銀行、アジアの発電所等電力インフラ融資債権の流動化プログラム。三井住友銀が信託勘定設定、千葉銀など地銀3行がABL融資で参加(RIEF)

2016-12-27 22:22:50

JBICキャプチャ

 

 国際協力銀行(JBIC)は、アジア各国で日本企業が取り組む発電所などの電力インフラ事業向けにプロジェクトファイナンスで融資した貸出債権を、信託勘定を活用して流動化し、日本の地方銀行に譲渡するスキームを、三井住友銀行と立ち上げた。地銀は千葉銀行など3行が参加する。

 

 アジア各国ではインフラ整備が急ピッチで展開しており、日本企業の取り組みも増えている。JBICはそうしたプロジェクトへのファイナンスを主導することで、協調融資に参加する金融機関のリスクをヘッジしている。しかし、地方銀行などはこうした海外プロジェクトファイナンスへの参画は難しい。

 

 そこで、JBICがファイナンス組成を行ったプロジェクトのうち、商業運転を開始するなど順調に進捗している案件を対象とし、JBIC保有の貸付債権の一部を三井住友銀行の信託勘定を活用して、地銀の投資対象に充てる。地銀は信託勘定に移されたJBICの債権を参照資産としてABL(債券担保融資)を実施する。

JBICキャプチャ

 

 JBICは自らの貸付債権の一部を流動化することで、「日本の民間金融機関の投資機会を創出する」としている。JBICにとっては、プロジェクトファイナンスの資金を早期回収でき、融資活動を活発に展開しやすくなる。傘下地銀は、千葉銀のほか、伊予銀行、群馬銀行の3行。

 

 JBICは、これまでも、貸付債権の流動化を実施してきたが、海外向け貸付債権を信託勘定を活用して流動化するのは、今回が初めて。地銀の資金も活用することで、大型化が進む途上国でのインフラ事業への日本企業による受注力を資金面で支援する力を向上させる期待もある。

 

 地銀にとっては、国内での貸出先不足を補い、相体的に高い利回りが見込める海外の融資事業に加わる機会となる。また海外事業で課題となる資金回収などの主要業務は国際協力銀が担うため、地銀が負うリスクは少なくて済むメリットもある。三井住友銀行はアレンジメントフィーを得る。

 http://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2016/1227-52293