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食品廃棄物を原料としたバイオガス発電所、静岡県牧之原市で稼働。徹底した「地産地消」型。金融も、工事も、運営も、地元企業が主導。補助金はなし。全国にも展開へ(RIEF)

2017-03-03 22:40:44

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 食品廃棄物を燃料にしたバイオガス発電設備が稼働した。アーキアエナジー(東京)が、静岡県牧之原市の「白井工業団地」で、県内の食品工場などから排出する廃棄物(食品残渣)を原料にして発電能力650kWの発電プロジェクトだ。建設資金は地元の静岡銀行、清水銀行、浜松信用金庫、昭和リース各社が供給、工事も地元の建設会社に発注する「地産地消」型発電だ。

 

 アーキアエナジー社は「カロリー・リ サイクル」をテーマに掲げ、主に食品工場などか ら排出される食品残渣等の廃棄物処理施設および再生可能エネルギーのバイオガス発電施設の展開を目指している。今回の牧之原プロジェクトはそのモデル事業でもある。

 

 静岡県内と牧之原市内から1日80㌧の食品廃棄物を集め、まず、巨大なタンクで発酵させる。タンク群はこのほか、発酵に必要な消化液の貯蔵タンク、廃棄物の前処理施設や排水処理設備等を備えている。廃棄物の保管からメタン発酵によるバイオガスの精製、発電までを一貫処理する。

 

 1日24時間発電が可能で、年間に340万kWhの電力を供給できる。一般家庭の消費電力(年間3600kWh)に換算して940世帯分に相当する。これは牧之原市の総世帯数(1万6400世帯)の6%分にあたる。

 

 発電した電力は固定価格買取制度(FIT)により既存電力会社に売電する。メタン発酵によるバイオガス発電の買取価格は1kWh当たり39円と、太陽光発電等よりも高いことから、年間の売電収入は1億3260万円になる。買い取り期間の20年間の累計で26.5億円を見込む。

 

 総事業費は20億5000万円。従来、食品廃棄物の処理費用の節約と、バイオガス電力の売電で十分、採算がとれるという。発電工程で出る副産物の飼料・肥料についても農家に供給する。

 

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 徹底した「地産地消」型である点も、このプロジェクトの特徴だ。静岡銀行など地元の金融機関からのプロジェクトファイナンスで資金供給を受けるだけでなく、工事建設業者や発電所の運営も地元の企業が担当する。国や県から補助金は受けない。

 

 全国では都市部を中心に年間に約2000万㌧にのぼる食品廃棄物が発生するという。その多くは飼料や肥料として再利用できるが、農業や畜産業の縮小によって消費量は減少傾向にある。このため、新たにバイオガス発電の原料にすることで再利用率を高めることができる。

 

 同社は今後、東京都内にバイオガス発電所の建設を計画しているほか、関西地区と東海地区で1カ所ずつ、北関東地区では3カ所に展開して、2020年までに合計7カ所へ拡大させる計画という。

 

http://www.archaea-energy.co.jp/wp-content/uploads/2017/02/50c20bf3e330493eaa81b6d6c5434aaf.pdf