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G20会合 パリ協定、グリーン金融に一切触れず。米トランプ政権の強硬路線に追われ、環境・温暖化対策の「守り」にまで手が回らず(?)(RIEF)

2017-03-19 18:28:19

G20キャプチャ

 

 主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は18日、ドイツ南西部バーデンバーデンで開いていた会合で、共同声明を採択した。トランプ米政権の政策転換を受けた形で、従来の声明にあった貿易分野での「保護主義に対抗」の文言が削除されたほか、地球温暖化対策でもパリ協定の実施、グリーン金融推進などの文言が削減された。パリ協定の形骸化が進む懸念も浮上してきた。

 

 ドイツが議長国となった今回のG20は、高関税などで国内産業を守る保護主義的な政策を公然と目指すトランプ米政権が誕生してから初めての開催となった。トランプ政権が大統領選挙時の強硬政策を修正するきっかけになる期待もあった。

 

 だが、結果は、逆に、昨年の共同声明に盛り込まれていた「あらゆる形態の保護主義に対抗する」という文章が削られ、代わりに「世界経済への貿易の貢献を高めるよう取り組む」という弱い表現になった。

 

 温暖化・環境分野でも、昨年のG20での「グリーン」の強調ぶりとは大きく異なった。昨年2月の上海、同7月の成都でのG20会合では、いずれも気候変動に関するパリ協定の採択と先進国や国際機関による協定支援、さらに気候変動枠組条約に基づいて途上国の緩和・適応政策を推進するための資金供給の実施・支援をうたっていた。

 

 議長国を務めた中国と英国が主導する形で、G20グリーン資金スタディーグループ(GFSG)を設立、再生可能エネルギー推進などに金融市場の民間資金を導入するための枠組みづくりを宣言した。またグリーン投資を促進するグリーンボンド市場の育成発展や、気候変動対策に民間資本を動員するための金融安定理事会(FSB)の気候財務情報開示作業部会(TCFD)などとの連動なども目指してきた。

 

 特に昨年7月の成都での会合では、GFSGが「緩和及び適応の取組みに関する野心の強化のための気候資金の効率的かつ透明な提供と動員の促進」を強調したレポートを公表したことを受けて、「開発援助及び気候資金プログラム分野において、気候変動対策を主流化する」との見通しを示した。

 

 そのうえで、「来年のG20議長の取組の下で、2017年は気候資金に引き続き取り組んでいく」と、 今回のG20でのグリーン金融のさらなる発展を「宿題」として示していた。それだけに、今回の共同声明でこうした「宿題」に一切触れなかったことは、「単に触れなかった」ということではなく、グリーン金融の流れを変える可能性もある。

 

 議長国のドイツには、米国の”変質”とは別に、粛々とこれまでの流れを継承する運営が期待されていた。だが、米政権の予想以上の強硬路線は貿易、為替面など多方面に及んだ。このうち、為替については、米国が「通貨安競争の懸念」を盛り込むよう求めたことに対して、「(貿易の)競争力のために為替レートを目標としない」と従来通りの表現を維持した。

 

 ドイツ等の欧州勢は、こうした対トランプ政権との攻防に追われて、環境面での後退を食い止める余力がなかったとみることもできる。昨年は中国をグリーン金融に誘導した英国が、欧州連合(EU)離脱に絡んで、政治的に米国に接近していることも、欧州勢の環境面での足並みを乱した可能性もある。

 

 今後、このままズルズルとトランプ流で「グリーンの後退」が進むようだと、パリ協定の形骸化も浮上してくる。ただ、政治的駆け引きで温暖化対策を「遠ざけた」としても、温暖化の勢いが止まるわけではない。逆に甘い対策に戻ることで、温暖化が加速するリスクは高まることになる。

https://www.g20.org/Webs/G20/EN/G20/meeting_ministers/meetings_ministers_node.html