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国際協力機構と三菱東京UFJ銀行の、国連「緑の気候基金(GCF)」への認証機関申請に、環境NGOが「待った」。石炭関連融資の多さを指摘。パリ協定と非整合(RIEF)

2017-07-05 10:32:33

2Jicaキャプチャ

 

   国連のGreen Climate Fund(GCF:緑の気候基金)が5日、韓国ソンドで開いた第17回理事会で、NGO代表から、日本の国際協力機構(JICA)と三菱東京UFJ銀行(BTMU)のGCFの認証機関申請の却下を求める要請が行われた。両機関が途上国での石炭関連融資を増大させていることが理由。日本の環境NGOの350.org Japanなど8団体も、声明書を発表した。

 

 理事会に提出された要請文は、「JICAおよびBTMUは、石炭などの化石燃料事業や開発プロジェクトなどへの資金提供を引き続き行っている。そうした行動は『途上国の開発を、低炭素開発及び気候強靭性をもった開発に変えるパラダイムシフトを促進させる』というGCF本来の目的と真っ向から対立する」と指摘している。

 

 そのうえで、GCFは、パリ協定が目指す「2℃目標」に反する石炭火力や石炭鉱山など石炭連事業へ金融支援を続けたままの両機関の認定申請については、断固、拒否するべきだ、と求めている。

 

 また「GCFが最低限、取り組むべきこと」として、最近、公表された国際安定理事会(FSB)の気候財務情報開示作業部会(TCFD)の最終報告(TCFD)を例にあげている。同報告では気候変動リスクを低減するうえでの金融セクターの役割を重視した取り組みを提言している。

 

jicaキャプチャ

 

 NGOの要請は、TCFD報告に沿って、両機関のカーボン関連資産、パリ協定の「1.5℃~2℃シナリオ」を達成するために気候リスクに取り組む投資戦略、脱カーボン化の目標と方法論、などの開示を、GCFとして両機関に要請するよう求めている。

 

 さらに、そうした対応をとらないまま、両機関をGCFの認証機関とすることは、気候変動に対応できる途上国の国づくりを使命として設立された国際機関であるGCF自身の評判を大きく低下させ、モラルリスクを引き起こすと警告。GCF認定機関に対して、カーボン資産を減少させる明確な目標と、気候関連の金融情報の開示を求めることこそが、GCFの本来の役割だ、と指摘している。

 

 NGOらのまとめによると、JICAは「クリーン・コール」と称する超々臨界圧、あるいは超臨界圧石炭火力発電所事業などに対して、2003年から17年にかけて、インド、ベトナム、バングラデシュで総額37億㌦を融資してきた。さらに、現在、インドネシアで計画中のインドラマユ石炭火力計画では、地元住民らから強い反対を受けているとしている。

 

 またBTMUは、「十分な部門別政策」を持たないまま、2011年~16年の間、アジア地域で17もの石炭火力等の事業に総額156億㌦を融資、あるいは引き受けの形で資金供給してきたとしている。BTMUの親会社に当たる三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、国際NGOがまとめた主要国際金融機関の化石燃料関連融資ランキングで、2014年~16年の3か年間では、日本勢最高の13位となる91億3200万㌦を貸し付けている。http://rief-jp.org/book/70777?ctid=67

 NGOらはJICAが融資する「クリーン・コール」石炭火力技術について、伝統的な石炭火力よりCO2排出量は低いものの、もっとも排出量が少ないとされる超々臨界圧石炭火力でも、天然ガスなどの他のエネルギー源を使う発電所よりもCO2排出量が多く、何よりもパリ協定の「2℃目標」と整合しない、と指摘している。



 GCF理事会に提出されたNGO要請文には、以下の日本の8つの環境NGOが賛同署名している。

 

 350.org Japan、 Friends of the Earth Japan、気候ネットワーク(KIKO)、 Rainforest Action Network(RAN) Japan、 グリーンピース Japan、 Japan Center for a Sustainable Environment and Society (JACSES)、 Japan Tropical Forest Action Network (JATAN)、 East Asia Environmental Information Center の各団体。

 

http://www.greenclimate.fund/home