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トルコの大型病院建設に、日本の官民金融団がプロジェクトファイナンスで総額1630億円の協調融資を決定。「海外ESG投融資」と位置付け(RIEF)

2017-07-22 22:02:34

turkeyキャプチャ

 

  トルコ最大の都市のイスタンブールで、大型病院施設を建設するPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業向けプロジェクトファイナンスに、日本の官民金融機関が総額1630億円の協調融資を決めた。三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、日本生命などが参画、国際協力銀行(JBIC)が同国の政治リスクに対して保証を付けた。トルコの医療設備を拡充する社会的ファイナンスでESG(環境、社会、ガバナンス)投融資と位置付けている。

 

写真は、病院の完成予想図)

 

 対象となる病院は、イスタンブールのイキテリ(İkitelli)地区に建設されるイキテリ総合病院プロジェクト。病床数約2682床という大型設備になる。日本商社の双日と、トルコ企業のRonesans Holding A.S.が出資するトルコ法人Istanbul PPP Saglik Yatirim A.S.(IPSY)が事業主体で、総事業費約2000億円。

 

 協調融資には、三井住友銀、三菱東京銀や日生のほか、第一生命保険、スタンダード・チャータード銀行東京支店、伊予銀行も参加する。JBICはこれらの融資のうち813億円を上限として参画するほか、民間金融機関の政治リスクを保証する。日本貿易保険(NEXI)もその他のリスクを保証する。

 

 同事業はトルコ最大規模の総合病院となる。同病院ではトルコ保健省が医療サービスを提供し、IPSYは病院施設の運営・管理事業をPPP形式で担当する。事業には25年間にわたって日本企業が運営・管理に携わり、日本流の病院運営・管理ノウハウも導入する。

 

 JBICや他の日本の金融機関にとっても、海外での大規模な病院PPP事業を主導するのは、今回が初めてになる。事業は今年9月に建設に着手し、病院の開業は2020 年10月の予定。


 トルコは、国民一人当たりの病床数が不足しているため、PPP方式で国立病院の整備を推進している。今回の事業は、同国のインフラ整備計画の中でも最大規模のプロジェクトになるという。

 

 日本政府は2014年7月に「健康・医療戦略」を打ち出し、日本の医療サービス等の国際展開の促進が打ち出している。また今年6月の「未来投資戦略2017」でも、日本企業等が海外医療機関の設立支援を目指すことを強調しており、そうした政府戦略に沿った形で官民ファイナンス団が組成された。



 JBICによる政治リスク保証は、協調融資に伴う元利金の外貨送金・交換リスク、カントリーリスク等をカバーする。 


http://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2017/0721-56156