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三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)クラスター弾製造企業への融資を今月から全面禁止。日本の金融機関で初めて(RIEF)

2017-12-03 21:53:34

MUFGキャプチャ

 

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、非人道兵器として知られる「クラスター弾」の製造企業への融資を、グループ傘下の三菱東京UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行の両行が今月から全面的に禁止したことを明らかにした。MUFGはクラスター弾の廃絶を目指す非政府組織(NGO)から同製造企業への投融資額が多いと批判されていた。クラスター弾製造企業への全面融資禁止を明言したのは、日本の金融機関では初めて。

 

 クラスター弾は、たくさんの小さな爆弾を入れた親爆弾を目標の上空で爆発させて子爆弾を広範囲にばらまき、それらが地表で一斉に爆発するように設計された兵器。目標の近くの一般市民を巻添えにするほか、目標に命中しなかった子爆弾は不発弾として、戦闘行為の終了後にも一般市民を脅かし続ける。非人道的兵器として、日本を含む100カ国以上が禁止条約に加盟している。

 

 全国銀行協会は2010年10月、クラスター弾の製造を目的とした融資に限って禁止する申し合わせをした。MUFGをはじめとする日本の金融機関はこれまで、この申し合わせに沿った対応をしてきた。しかし、クラスター弾製造企業への一般的な融資は制限していないことから、NGOなどから批判が集中していた。

 

 MUFGは今回、「クラス ター弾の非人道性を踏まえ、2017 年 12 月以降、 資金使途に関わらず、クラスター弾を製造する企 業に対する与信を禁止する」と公表した。

 

clusterキャプチャ

 

 クラスター弾の廃絶を目指す国際的な非政府組織グループ「クラスター兵器連合(CMC)」は今年5月、世界の166の金融機関が4年間で合計310億㌦(約3兆4000億円)を、クラスター爆弾の製造企業に投融資していたとする報告書をまとめた。国別では米国が最も多く、中国、韓国の順。日本はMUFGなど4金融機関が合計2100億円を投融資していた。http://rief-jp.org/ct6/70141

 

 CMCの調査は、クラスター弾を製造している企業6社(China Aerospace Science and Industry(中国)、Norinco (中国)、Hanwha (韓国)、Poongsan (韓国)、Orbital ATK (米国)、Textron (米国) ) と金融機関の関係を調査し、投融資している機関を「不名誉リスト(Hall of Shame)」、投融資を禁止している機関を「名誉リスト(Hall of Fame)」、取り組みは進めているものの不十分な機関を「次点リスト(Runners-up)」の3つに分類し公表した。

 

 日本の金融機関で「不名誉リスト」に名を連ねたのは、MUFG(融資額1020億円)、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC:670億円)、オリックス(390億円)、第一生命(40億円)の4社。いずれもクラスター弾製造企業の米Orbital ATK社及びTextron社への債権や融資等が中心 。

 

クラスター弾への融資禁止を呼び掛けるNGO
クラスター弾への融資禁止を呼び掛けるNGO

 

 このうち、MUFGは取引額でも世界で7番目の多さで、融資額で3位、投資・銀行業務で5位と、「不名誉リスト」の上位にランクされていた。

 

 ただ、今回の措置は融資禁止で、MUFGが年金基金などから委託・指示を受けて運用する投資については、パッシブ運用などによって、製造企業にも投資資金が流れる可能性は残る、としている。