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インドネシアでの国際協力機構(JICA)主導の石炭火力発電所拡張計画、地元裁判所が環境許認可取り消しの判決。日本政府の石炭火力推進策、見直しを迫られる(RIEF)

2017-12-15 16:27:40

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  日本の国際協力機構(JICA)がインドネシアで融資を予定している西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電所の事業・拡張計画に対して、バンドン行政裁判所は、同事業の環境許認可を取り消す判決を出した。この結果、現行の建設計画は見直しを迫られる。地元の住民らが取り消し訴訟を提起していた。日本政府肝いりの石炭火力推進計画が、地元でも疑念が高まっていることの反映とみられる。

 

写真は、バンドン行政裁判所前で、「勝訴」の判決に喜ぶ住民たち)

 

 日本の官民が関与するインドネシアでの石炭火力発電所計画には、各地で住民主導の反対運動が展開されているが、事業推進の決め手となる環境許認可が司法によって取り消されたのは、JICAと国際協力銀行(JBIC)が主導する同じ西ジャワ州チレボン石炭火力チレボン石炭火力・拡張計画に続いて2件目。インドラマユ県と事業主のインドネシア国有電力(PLN)は、控訴する姿勢を打ち出している。http://rief-jp.org/ct1/74553

 

 インドラマユ事業は、CO2排出量が通常のものより相対的に少ないとされる超々臨界圧石炭火力発電所(出力2000 MW=1000 MW ×2基)を建設する計画。PLNが事業主。ジャワ-バリ系統管内への電力供給が目的。このうち1号機(1000 MW)にJICAが円借款を提供する予定とされる。

 

 すでにJICAは2009年度から協力準備調査を実施し、エンジニアリング・サービス(E/S)借款契約(を締結するなど、建設推進に向けた準備を続けてきた。

 

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 これに対して、地元住民やインドネシア環境フォーラム(WALHI)などの環境団体などは、インドラマユ県知事が出した環境許認可について、県知事にはそうした許認可を発行する権限がない、と指摘、許認可自体が法律違反だとして、取り消しを求めていた。



 また県知事の事業に対する環境許認可は、事業で影響を受けるコミュニティーからの意見聴取等の手続きをとっていないことから、インドネシアの「環境保護と管理に関する2009年法律」に違犯するとも指摘していた。



 バンドン裁判所は、こうした住民側の主張を受け入れ、県が出した環境許認可を取り消す判決を出した。判決を受け、WALHI本部のDwi Sawung氏は、「インドネシアで日本が支援する石炭火力発電事業が、また法的問題に直面した。日本はインドネシアの法規定を尊重し、論争を巻き起こしているインドネシアでの石炭火力発電事業から撤退すべきだ」と日本政府の決断を求める発言をしている。


 法律扶助協会(LBH)バンドンの「気候正義のための提言チーム」のGugun Kurniawan氏は、「今夏の司法の決定は、住民の生計手段の喪失のため、西ジャワ州で進められている大規模事業を見直すよう、ジョコ大統領野責任を問うもの」と指摘している。


 インドラマユの地元では、訴訟の公判中もPLNが、事業予定地に続くアクセス道路の工事を強行するなどの行動をとり、事業に反対する農家らとの対立・衝突が起きていた。判決日にも約150名の住民が、インドラマユ県の村からバンドン市に駆け付け、裁判所前で訴訟勝利を求める行動を展開した。

 

 訴訟は、今年7月5日に、地元農民3人が原告として、インドラマユ県知事を、不当に環境許認可を発行したとして、裁判所に提訴していた。

 

http://www.foejapan.org/aid/jbic02/indramayu/171206.html