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長崎・宇久島の大規模メガソーラー事業、事業者変更で再始動。贈賄事件で一時中断。営農型ソーラーシェアリングで480MW。金融機関は、みずほ銀行と十八銀行が参加(RIEF)

2018-01-25 16:27:36

ukushima1キャプチャ

 

   長崎・宇久島で計画されている最大出力 480MW の大規模太陽光発電事業が、これまでの事業主体だったドイツのプロジェクト開発会社から、九電工、京セラ、東京センチュリーなどが出資する特別目的会社(SPC)に権利が譲渡され、再始動する。同事業は、事業進行に絡んで佐世保市議による贈賄事件が起き、事実上頓挫していた。事業体制の建て直しによって、2018年度中に着工する見通し。総事業費2000億円で、金融機関はみずほ銀行と地元の十八銀行が参加し、プロジェクトファイナンスのとりまとめを担当する。

 

 同事業は当初、2013 年 4 月、ドイツに本拠を置くプロジェクト開発会社のフォトボルト・デベロップメント・パートナーズ社(Photovolt Development Partners GmbH:PDP)が、長崎県の離島である宇久島の経済活性化を目指したメガソーラープロジェクトとしてスタートした。同島の農地や耕作放棄地を借りて、京セラ製の多結晶シリコン型高出力モジュールを約165万枚設置する計画。年間総発電量は約51.5万MWh、一般家庭約17万3000世帯分の年間使用電力量を発電できる。

 

  この事業コンセプトは変えずに、事業主体をPDPから日本勢とタイの SPCG Public Company Limited(SPCG)などが参画して設立するSPCの「宇久島みらいエネルギーホールディングス合同会社」に移管させた。SPCには他に、古河電工、坪井工業も出資した。当初参加していたオリックスは撤退した。

 

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 SPCG社と東京センチュリーは、京セラと太陽光発電所の開発・運営で関係が深い。また東京センチュリーは京セラとは、すでに合弁で多くのメガソーラーを開発しており、SPCGもタイ国内でオオクノ1太陽光発電事業を展開、そのパネルの多くは京セラ製という関係にある。



  「宇久島みらい合同会社」は、別途、子会社として発電事業 SPCの「る宇久島みらいエネルギー合同会社」を設立しそこに借りた農地等を転貸する形をとる。「エネルギー合同会社」は、借り受けた農地に太陽光発電所を建設し、発電事業を運営する。

 

  借りる一部の農地では、支柱を立てて、農業の営農を続けるソーラーシェアリングを取り入れる。太陽光発電システムの下では牧草を栽培し、同島の畜産農家の肉食用牛の飼料とする。宇久島は肉食用仔牛の畜産が盛んだ。販売する牧草価格は従来より低価格にする予定という。CO2削減量は年間約27万4750㌧。発電した電力は同島と本土を結ぶ約64kmの海底ケーブルで伝送し、九州電力に売電する。


 事業主体の変更については、関連各社のプレスリリースでは言及していない。だが、同事業については、2016年2月に、事業促進を目指して宇久島出身の佐世保市議会議員が同市長に賄賂を渡そうとして逮捕される贈賄事件が起きている。逮捕容疑は、同市議会議員が2014年9月下旬~10月上旬にかけて、港湾施設占有許可などの便宜を受ける目的で、100万円の賄賂を申し込んだ疑いで、すでに有罪判決を受けている。

 

 同市議は、建設する太陽光発電事業用の農地等の借り受けを行う会社から献金を受けていたとされる。市長は受け取りを拒否した。こうした経過から、同事業は事実上、凍結状態になっていた。今回、事業主体を変更することで、新たな計画として再始動することになった。http://blog.goo.ne.jp/flyhigh_2012/e/0bda0b7865010921c11fef2b06af27fb

 

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1546084