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日本で化石燃料・原発関連企業への投融資ゼロの金融機関は、労金、じぶん銀行、楽天銀行の15機関。環境NGO、350Japanの追跡アンケートで判明(RIEF)

2018-03-15 16:20:36

350J1キャプチャ

 

 環境NGO「350.org」の日本支部(350.org Japan)は「地球にやさしい銀行」を探し出すためのアンケート結果をまとめた。その結果、「化石燃料・原発関連の投融資がない」と明確に言い切ったのは、労働金庫13社のほか、じぶん銀行、楽天銀行の合計15銀行だった。350Japanは、社会や環境に配慮した金融機関を選びたい消費者に向けて、これらの銀行を推薦していく方針だ。

 

 350Japanは2016年8月に公表した調査報告書「民間金融機関の化石燃料および原発関連企業への投融資状況」で、化石燃料や原発関連企業、合計23社を抽出し、これらの企業に対して金融機関および機関投資家137社が、どのような投融資を行っているかを調べた。その結果、3メガバンクをはじめとする金融機関(ホールディングスを含む)61社が化石燃料関連企業に、54社が原発関連企業に投融資し、資産運用でも68社が化石燃料関連企業と、54社が原発関連企業の債券・株式を保有していた。

 

 反対に、特定の化石燃料および原発関連企業との関係が確認されなかった金融機関45社を「地球にやさしい銀行」と分類した。ただ、これらの分類は有価証券報告書などの公表資料に基づくため、実際の投融資状況を確認するため今年2月に45社に対して、「化石燃料・原発関連企業・事業への投融資の有無」や「環境や持続可能性に配慮した取組み」を問う「金融機関の環境配慮についてのアンケート」を実施した。http://rief-jp.org/ct1/76898

 

 その結果、3月14日の期限までに回答した金融機関は、全国の労働金庫を代表する全国労働金庫協会(対象、中央労働金庫、中国労働金庫、東海労働金庫、北労働金庫、長野県労働金庫、新潟県労働金庫、北陸労働金庫、北海道労働金庫、沖縄県労働金庫、九州労働金庫、近畿労働金庫、四国労働金庫、静岡県労働金庫の13金庫)のほか、じぶん銀行、神奈川銀行、楽天銀行だった。

 

350J2キャプチャ

 

 このうち、神奈川銀行は回答はあったが、「化石燃料・原発関連企業への投融資の有無」の問いについては「非公表」とだったことで、350Japanは同行を「化石燃料・原発関連企業向け投融資のない銀行」にはいれていない。

 

 ただ、同行と楽天銀行からは、事業経営において気候変動問題とその影響への対策を取ることを必要だと捉えている、との回答は得られた。具体的な取り組みとして、楽天銀行は「通帳を発行しないことを通じての紙資源の節約」、神奈川銀行は「省エネ設備の導入に関する個人ローンについての金利の優遇」を挙げている。

 

 労金13社は事業経営では「(気候変動問題は)重要視していない」と回答した。その理由として、「労金の商品・サービスは主として個人が対象で、法人融資については、融資先・目的も制限されている。社会貢献の一環としての環境問題への取組みは行っているが、方針等は特に立てていない」と説明している。ただ、資産運用においては「SRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)原則に基づいた投資先の決定・運用を実践」しているとの回答があった。

 

 環境・社会活動としては、楽天銀行は2014年7月より開始した楽天グループによる環境取り組みである「楽天の森ーあなたと楽天で日本の森を再生ー」活動の森林整備や生物多様性保全の取り組みに参加しているとしたほか、労金各社も「ろうきん森の学校」活動などに取り組んでいる。

 

 350 Japan日本代表の古野真氏は「化石燃料や原発関連企業への投融資がない金融機関を日本でも確認できたことはとても大きなステップだと思う。世界では、脱炭素化に向けて、欧米の銀行を中心にCO2の最大排出源である石炭を始め化石燃料からのダイベストメントが進んでいる。今後は金融機関の気候変動対応や投融資方針の内容、関連情報の公開などが主要な評価指標となってくる」と指摘している。

http://world.350.org/ja/press-release/45cleanbankresult/