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三井住友銀行、石炭火力発電所向け融資は、超々臨界圧(USC)方式に限定。3メガバンクの石炭火力向け融資方針出そろう(各紙)

2018-06-17 15:37:22

SMBCキャプチャ

 

 各紙の報道によると、三井住友銀行は石炭火力発電所への融資について、超々臨界圧(USC)石炭火力発電所以上の高効率技術のプロジェクトだけに融資する方針を決めた。メガバンクでは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が同様にUSCへの融資に限定したOECDルールに基づく方針を示しており、3メガバンクの石炭火力対応が出そろった。

 

 日本経済新聞が報じた。みずほフィナンシャルグループは、今月13日、「温室効果ガス排出に関わる技術が、同等のエネルギー効率を持つ実行可能な代替技術と比較して、経済合理性を踏まえて適切な選択肢である」場合に、融資するとの方針を示している。みずほはOECDルールとの整合性には直接言及していないが、CO2削減とエネルギー効率維持の両技術をバランスさせる技術としてはUSCを想定しているとみられる。

 

 OECDルールは、同輸出信用部会が2015年に改定した公的輸出アレンジメントに基づく。旧来の超臨界圧(SC)、亜臨界圧(ドラム方式)の各石炭火力発電向け融資は最貧途上国への援助等に限定、民間金融機関の融資についてはUSC方式を含む高効率石炭火力向けに限定する方針としている。

 

  ただ、米環境保護庁(EPA)のモデル調査では、USC、SC、亜臨界圧は各ボイラーの燃焼技術の違いはあるものの、燃費効率は、38.45%、37.84%、36.68%と、ほとんど差がなく、USCのCO2排出量も天然ガス燃料の火力発電よりかなり多いことが知られている。https://www.wwf.or.jp/activities/upfiles/20151105scp06.pdf

 

 報道では、三井住友銀行は国内の石炭火力発電事業についても、USC方式に限定し、それ以外の発電方式の場合は、融資を断るとしており、輸出アレンジメントを内外の案件に適用する姿勢のようだ。

 

 三井住友銀の持ち株会社、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)の圀部毅社長は5月14日の決算説明会で、「石炭火力は相対的に低コストであると同時に、気候変動への影響が大きいことから、当該事業に対する与信方針についてはさらなる厳格化を検討している」と述べ、融資ルールの厳格化の方針を示唆していた。http://rief-jp.org/ct1/79414?ctid=67

 

 MUFGは、5月15日に公表した環境方針・人権方針の改定の中で、新規の石炭火力発電所向け融資について「OECD などの国際的ガイドラインを参考に、ファイナンスの可否を慎重に検討」と明記した。http://rief-jp.org/ct1/79569?ctid=67

 

 国際的な環境NGOが共同で調査・公表した「化石燃料向けファイナンス2018年報告書」では、日本の3メガバンクは、3年平均でみると、化石燃料向け融資の全体額は減少傾向にある。ただ、石炭火力向け融資では、MUFGが5位に、みずほが8位と10位以内にランクされている(SMFGは22位)。http://rief-jp.org/ct6/78130

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180617&ng=DGKKZO31870960W8A610C1MM8000

http://nexi.go.jp/international/oecd/index.html