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三井住友信託銀行、新規の石炭火力発電所向け融資を、高効率発電も含めて、内外で全面停止。銀行では初めて(RIEF)

2018-07-19 16:38:46

mitsuisumitomo1キャプチャ

 

  三井住友信託銀行は、地球温暖化の加速要因になっているとの批判がグローバルに出ている石炭火力発電所向け融資について、高効率の超々臨界圧発電所(USC)向けを含めて、内外での融資を行わない方針を定めた。3メガバンクも先ごろ、石炭火力発電向け融資を限定する方針を出したが、USCなどは例外扱いにしている。「脱石炭火力」融資で三井住友信託が一歩踏み出した形となる。

 

 三井住友トラストグループは、気候変動ガバナンスとして、同グループが抱える気候変動に関連する重要課題(マテリアリティ)項目を、①投融資先の環境・社会への影響に対する配慮②環境・社会をテーマとしたビジネス機会の追求リスクマネジメント③気候変動(物理的な影響等④グループの環境負荷の低減、を掲げている。

 

このうち、今回の石炭火力発電向け融資の停止は①に該当する。グループの三井住友信託銀行はこれまでも、国際プロジェクトファイナンスでの環境・社会配慮を定めた赤道原則に基づき、鉱山開発、石油・ガス開発、発電所、石油化学プラントなどの大規模プロジェクトが間接的に気候変動に負の影響を与える可能性があるとして、投融資に際して特別の配慮を行ってきた。

 

 今回、石炭火力発電については、こうしたプロジェクト一般への配慮から一歩踏み出し、温暖化への影響の大きさから内外での融資を全面的に停止することとした。同行は今年3月に遡って、2018年度からの案件にすべて適用する。

 

 3メガバンクなども同様に石炭火力向け融資に慎重な姿勢を打ち出している。だが、いずれも「USCのような高効率なものは例外」(三井住友フィナンシャルグループ)、「「OECD などの国際的ガイドラインを参考に」(三菱UFJフィナンシャル・グループ)、「他の同等技術評価と経済合理性」)(みずほフィナンシャルグループ)等と、高効率石炭火力発電は例外扱いとしている。http://rief-jp.org/ct1/80270?ctid=67  http://rief-jp.org/ct1/79569?ctid=67 http://rief-jp.org/ct1/80137?ctid=67

 

 先ごろ公表された国際エネルギー機関(IEA)の2017年レポート等によると、石炭火力発電の投資は欧米を中心に低下している。しかし、、環境NGOの350.org Japanなどによると、2015~2017年の石炭火力向けの融資・引き受け額は約940億㌦(約10兆円)を超えている。このうち、銀行別では中国の国営銀行が上位を占めているが、日本の3メガバンクもそれに次ぐ融資水準となっている。http://rief-jp.org/ct1/80527?ctid=67

 

 アジア諸国を中心に、大規模な石炭火力発電事業に参画している3メガバンクに比べ、三井住友信託銀は、それほど多くの海外事業にコミットしていないことも、今回の決断に踏み切った背景にあるようだ。ただ、 三井住友信託も、現在、融資交渉を続けている高効率石炭火力発電事業等については、貸し手としての責任等の観点から例外とする、としている。

 

 日本の金融機関で石炭火力発電向け融資の停止を明確にしているのは、銀行以外では、生命保険業界の日本生命と第一生命がある。このうち第一生命は海外の石炭火力事業に限って新規融資を行わない方針だが、日本生命は内外の新規事業融資の停止を明言している。日生はUSC等について例外とするとは言明していないので、三井住友信託と同様に、全面停止の方針とみられる。http://rief-jp.org/ct2/80985

https://www.smth.jp/