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3メガバンクのTCFD報告への対応、環境NGOの350.org Japanの評価で、みずほFGがリード、「指標・目標」で合格点。SMFGは同評価で不合格、MUFGは押しなべて低調(RIEF)

2018-08-14 23:56:23

mizuho4キャプチャ

 

   日本の3メガバンクは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の情報開示支援を表明しているが、直近の統合報告書がTCFDの趣旨に沿った開示になっているかを、環境NGOの350.org Japanが検証、公表した。それによると、みずほフィナンシャルグループ(FG)が環境負荷低減目標の設定・指標管理で「合格」と評価された一方、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は同分野での記載がゼロで、「不合格」とみなされた。

 

 350.org.Japanは、みずほFG、SMFG、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の3メガバンクが7月31日までに公表した統合報告書での気候変動情報の開示状況をチェックした。特にTCFDが求める「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標・目標」の4分野での開示状況を検証した。

 

 評価は、色で表した。たとえば、提言にほぼ沿った内容である場合は「緑(合格)」、提言に対して具体的な説明がある一方、明確でない内容もある場合は「黄(ちょい無理)」、また提言に対しては触れているが、具体的な内容は欠けている場合は「オレンジ(かなり無理)」、そして、提言に対して言及がない場合は「赤(不合格)」という具合だ。

 

 今回の評価では4分野で、「合格」の緑を取得したのは、みずほFGの「指標・目標」分野だけ。みずほは、SBT(科学的根拠に基づく目標)の設定を明言したほか、 新規の大規模発電プロジェクト向け融資での環境負荷(CO2排出寄与量)でスコープ3も含めるとした点を評価された。

 

3505キャプチャ

 

 一方、対照的に「不合格」の赤評価となったSMFGは、同分野について「記載なし」が理由となった。MUFGは「グループ5社の温室効果ガス排出量を開示」したが、「削減目標は確認できない」「開示されている排出量がどの指標(スコープ1、2など)に基づくのかが明確ではない」と評価され、オレンジ色にとどまった。

 

 みずほは、他の「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」でも、二番目に高い評価の黄色を得た。SMFGは「リスク管理」でみずほとどう評価の黄色を獲得したが、それ以外はオレンジが2分野で、赤1分野。MUFGは4分野ともオレンジという低評価に終わった。「横並び」が常とされる日本の金融界だが、TCFD対応については、みずほの積極的な対応が目立っている。

 

350.org Japanの活動風景
  350.org Japanの活動風景

 

 評価を行った350.org Japanは「今後、3メガバンクがそれぞれ、炭素関連資産に係る信用エクスポージャー(特に化石燃料関連企業への融資・株式投資銘柄の残高)を開示すること、およびパリ協定の目標に整合する1.5−2℃ シナリオ分析を行うことを期待する」と述べている。

 

350.org Japan 分析格付け

緑:提言にほぼ沿った内容

黄:提言に対して具体的な説明がある一方、明確でない内容もある

オレンジ:提言に対しては触れているが、具体的な内容は欠けている

赤:提言に対して言及がない

 

http://world.350.org/ja/