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三井住友信託銀行、太陽光発電向けのプロジェクトファイナンス債権を「自己信託」し、受益権を投資家向けに販売。第一弾として約20億円分。「グリーン信託」の開発に力(RIEF)

2018-10-02 18:26:07

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  三井住友信託銀行は、太陽光発電による再生可能エネルギー発電事業向けプロジェクトファイナンス債権を自己信託し、その受益権を投資家に販売するスキームを組成した。プロファイ総額は約60億円で、今回は、そのうち約20億円を受益権として販売する。受益権はグリーンボンド原則(GBP)への準拠を、日本格付研究所(JCR)のグリーンボンド評価によって取得している。

 

 再生可能エネルギー発電事業向けのプロジェクトファイナンスは、固定価格買取り制度(FIT)導入後、各地で展開されている。ただ、プロファイ債権は、ファイナンスがプロジェクトと密接に結びついていることから、途中での他社への譲渡が難しく、流動性に課題があるとされてきた。

 

 三井住友信託は、現在、同行が昨年3月から融資を行っている栃木県での太陽光発電事業向けのプロファイ融資を対象として、自己信託を実施する。同事業は発電出力14MW、想定年間発電量14,875MWh、年間CO2削減量は約7000㌧と見込まれる。

 

 同行は、その貸出債権は銀行勘定で保有するが、これを自行の信託勘定で受託する形の自己信託を実施した。これにより、銀行勘定に対して、元本償還と収益配当を受け取る受益権を交付する。その受益権を投資家に販売することになる。

 

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 JCRは今回、その受益権について、同社のグリーンボンド評価手法に基づいて、「グリーン性評価(資金使途)」で「g1」、「管理・運用体制及び透明性評価」で「m1」と判定し、総合評価で最上位の「Green1」を付与した。またグリーンボンドの市場基準であるグリーンボンド原則(GBP)の基準適合も評価した。

 

 
 三井住友信託では、今後、「グリーン受益権」に対して、格付を取得することや複数プロジェクトのプロファイ債権を合成して規模を拡大した組成を進めることも検討していく、としている。今回の発行については、そうした投資家拡大に向けた「第一歩」と位置づけている。

 

  同行は信託機能を活用したグリーン金融商品の開発に力を入れており、先に投資家から集めた資金を信託の合同運用指定金銭信託を活用して、環境事業へ貸し出す「グリーン・トラスト」として、J-REIT のユナイテッド・アーバン投資法人(UUR)向けにグリーンビルディング取得資金を融資するスキームも立ち上げている。http://rief-jp.org/ct1/82429

 

https://www.smth.jp/news/2018/180928.pdf

https://www.jcr.co.jp/pdf/greenfinance/12747_20180928_jp.pdf