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芙蓉総合リース、東電福島事故で帰還困難区域となっている福島・浪江町でメガソーラーー事業着工。資金100億円はグリーンボンド発行で調達(RIEF)

2018-10-24 14:43:08

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  東京電力福島第1原発事故で国の帰還困難区域に指定されている浪江町で、リース会社主導のメガソーラー(大規模太陽光発電所)事業が相次いで立ち上がった。一つは、みずほフィナンシャルグループ系の芙蓉総合リースが同町酒井地区で実施するもので、建設資金の100億円は芙蓉総合リースがグリーンボンドを発行して調達する。東電事故で汚染された「フクシマ」がグリーンに再生することへの期待も込めた事業展開といえる。

 芙蓉総合リースの事業は、連結子会社の合同会社浪江酒井ソーラー社が事業主体となる。浪江町酒井地区の帰還困難区域内の、耕作ができなくなっている農地約70haを地元の農家から賃借して土地を確保。発電能力は60MWの太陽光発電設備を建設する。年間予測発電量は約6027万kWhで、一般家庭の年間消費電力に換算すると約1万6700世帯分に相当する。東北地区では最大級の規模となる。

 発電した電力は固定価格買取り制度(FIT)を利用して全量売電する。発電の開始は2020年2月を目指す。投資額は約100億円で、芙蓉総合リース自身が、11月にグリーンボンドを発行して調達する。グリーンボンドは期間5年、グリーン性については日本格付け研究所(JCR)の「グリーンボンド評価」で最上位の「Green1」の予備評価を得ている。東電原発事故の被災地での復興事業にグリーンボンド資金を充当するのは初めてといえる。

 東電原発事故の被災地の帰還困難区域は、放射線の年間積算線量が50ミリシーベルトを超え、5年間を経過しても年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らない恐れがある区域を、国が指定している。同区域では居住や立ち入りが制限されている。現在、浪江町のほか、南相馬市、飯館村、大熊町、双葉町、富岡町、葛尾町等のそれぞれの全域または一部が指定されている。

 同区域では立ち入り制限があるが、時間を限っての滞在は可能で、現在も、高速道の料金所の運営や土木工事などが行われている。このため、メガソーラーの建設に際しては、建設事務所は帰還困難区域外に設け、区域内で作業をする作業員については、放射線量を管理しながら建設工事を進める方法をとる。

 設備が完成すると、太陽光発電の管理等は、人が現地に常駐しなくても遠隔監視制御で発電できるため、発電には問題はないとしている。期間困難区域の浪江町内で本格的な新規事業が立ち上がるのは初めてといえる。

 太陽光設備を敷設する場所は、農地なので日照条件が優れており、発電に適しているという。帰還困難区域では今月から、初めて国による本格的な除染活動が始まっている。環境省は、放射能汚染された6町村を対象に、4年前後をかけて除染を進め、避難指示の解除を目指すとしている。

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