日本郵船、船舶からの硫黄酸化物排出規制対策で、三菱UFJ銀行組成のグリーンシンジケートローンで90億円を調達。年間のグリーン資金調達額200億円を超す(RIEF)
2019-04-10 16:59:27
日本郵船は、保有船舶の海洋への環境汚染を防止するための設備資金を国際的な「グリーンローン原則(GLP)」に基づくシンジケートローンで90億円を借り入れた。GLPに基づくシンジケートローンの借り入れはわが国では初めてとなる。日本郵船は昨年グリーンボンドの発行と、単独のグリーンローン調達を重ねており、グリーン資金調達額は1年間で200億円を超える。
グリーン・シンジケートローンの資金使途先となるスクラバー装置は、船舶のエンジンから排出されるSOx(硫黄酸化物)を含む排気ガスに海水を噴霧して硫黄分を除去する仕組み。SOx排出量を86%削減することが可能という。国際的な海洋汚染防止条約(MARPOL条約)に基づき、船舶燃料油中の硫黄分(SOx)排出規制が2020年から全世界的に強化されることに対応する。
資金調達手段のシンジケートローンは、三菱UFJ銀行がシンジケート団を組成するアレンジャーとエージェントを務めた。参加金融機関は、同行のほか、愛知県信用農業協同組合連合会(JA愛知信連)、信金中央金庫、西日本シティ銀行、肥後銀行、広島銀行、武蔵野銀行、山口銀行など9金融機関。
同ローンの「グリーン性」については、日本格付研究所(JCR)のグリーンローン評価で最上位の「Green1」を取得したほか、三菱UFJ銀行と三菱UFJリサーチ&コンサルティングが開発したESG評価型融資商品「ESG経営支援ローン」でも適用第一号になった。
これらの評価では、国連の持続可能な目標(SDGs)の第三目標(SDGs)の第三目標「すべての人に健康と福祉を」、第9目標の「産業と技術革新の基盤」への貢献効果も認定された。
日本郵船は、中期経営計画「“Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green” 」にESGの観点を織り込んで、新たな中長期環境目標を策定している。
同環境目標への取り組みを財務面から支えるために、2018年5月に外航海運として世界初のグリーンボンド100億円(5年物)を発行している。同年12月には太陽生命保険からグリーンローン20億円を借り入れている。
今回のグリーン・シンジケートローンの組成は、これらに続く第3弾のグリーンファイナンス案件となる。同社のグリーン資金調達額は200億円を超えた。