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日興アセットマネジメント等、「Climate Action+」イニシアティブ署名の日本の7機関、日立、トヨタ等10社に対して気候変動対策の対応強化を求める共同行動実施へ。CalPERSなどと連携(RIEF)

2019-04-15 13:22:48

 

  日興アセットマネジメントや三井住友信託銀行など資産運用業務に取り組む7機関は、投資家が温室効果ガス排出量の多い大企業に気候変動対応を直接働きかける「Climate Action 100+イニシアチブ(CA100+)」の活動として、日本の日立製作所、トヨタなど10の企業に共同で働きかける集団投資行動を実施することで合意した。

 

 CA100+に署名する日本の機関として初の共同行動となる。英Responsible Investor(RI)が報じた。それによると、同行動には、米最大の公的年金基金のカリフォルニア州職員退職年金基金(CalSTRS)と同州教職員退職年金基金(CalSTRS)が協調行動をとる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も「サポーター」として署名した。

 

 7機関は先週、都内で会合を開いて、共同行動を確認した。立ち上げの会合には、アジアでのCA100+普及を推進している「Asia Investor Group on Climate Change (AIGCC)」の代表も参加した。

 

 CA100+はCalPERSなどの世界の大手投資家主導で発足したイニシアティブ。GHG排出量の多いグローバルな大企業100社を対象として、①気候関連リスク・機会の管理向上②バリユーチェーン全体でのCO2排出量削減③TCFDが目指す気候関連財務情報開示の強化、等を求める。対象となる企業は現在161社に増えている。賛同する資産保有機関や資産運用機関数は世界全体で320機関を超えており、運用総額は33兆㌦に達する。

 

 CA100+1キャプチャ

 

 日本企業の対象企業は、ダイキン工業、日立製作所、ホンダ、新日鉄住金、日産自動車、パナソニック、スズキ、トヨタ自動車、東レ、JXホールディングスの10社。

 

 CA100+に賛同して署名し、今回の共同行動への参加するのは、日興アセットと三井住友信託のほか、アセットマネジメント・ワン、三菱UFJ信託銀行、損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント、りそな銀行、富国キャピタルマネジメントの各機関。

 

 投資家による共同行動は、金融庁が示すスチュワードシップコードにも明記されている。CA100+署名の日本の金融機関はこれまで欧米の署名資産運用機関に比べて、共同行動等の動きはなかった。投資家と投資先企業の日本的関係の濃さも一つの要因とみられていた。しかし、今回の7機関の対応は、金融庁等の了解を得たうえで、投資リスク軽減の共同行動の必要性を判断したとみられる。

 

 投資家が投資先企業の気候変動対策が不十分と判断する場合、直接の対話や株主行動等で意志を表明するエンゲージメント活動は日本でもこれまで実施されている。しかし、個々の投資家がバラバラで対応するよりも、一定規模の影響力を持つ機関投資家や資産運用会社が共同で特定の企業をターゲットにして集団対応することで、企業側への影響力も格段高まる期待がある。

 

 実際の投資先企業への共同行動は、対象となる10社に対する保有株の割合によって2つの対応を予定している。まず、7機関のうち、4機関がCalPERSと連携して、投資先6社に対して働きかける。一方、CalSTRSはは4機関と連携して4社に働きかける。それぞれの投資家がどの企業に働きかけるかは公表していない。

http://www.climateaction100.org/