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三菱UFJフィナンシャル・グループ、2030年度までにサステナブルファイナンス投融資目標20兆円を設定。新規の石炭火力融資はUSCを含め原則禁止。融資残高の削減目標は明示せず(RIEF)

2019-05-16 19:16:08

coal3キャプチャ

 

 三菱 UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG)は、2030年度までに総額20兆円の新規投融資等を実施する「サステナブル ファイナンス目標」を設定した。また、「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」を改定し、新規石炭火力発電向け融資について、超々臨界圧石炭火力(USC)を含めて原則禁止する方針を正式に盛り込んだ。

 

 新フレームワークの適用は、 7 月 1 日から実施する。サステナブルファイナンス投融資の数値目標の設定は大手銀行では初めて。MUFGは、持続可能な社会の実現と、国連の持続可能な開発目標(SDGs )の達成に貢献するため、としている。

 

 サステナブルファイナンス目標に向けて、対象とする事業の評価のために、国際的なグリーンローン原則、 グリーンボンド原則、ソーシャルボンド原則などの市場基準をクライテリアとして活用する。提供するファイナンスは、融資、ファンド出資、プロジェクトファイナンス、シンジケートローン組成、株 式・債券の引受、ファイナンシャルアドバイザリー業務等、としている。

 

MUFG11キャプチャ

 

 具体的な事業は、環境分野では、再エネ、省エネ、グリーンビルディングなどの気候変動対策の適用・緩和に資する事業向けの融資・プロジェクトファイナンスの組成、グリーンボン ドの引受・販売などを想定している。

 

 社会分野では、スタートアップ企業の育成、雇用の創出、貧困の改善や地域活性化・地方創生に資する事業、公共交通/水道設備/空港などの基本的なインフラ設備、病院/学校/警察などの必要不可欠なサービス事業などを想定している。

 

「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」の改定の目玉は、新規の石炭火力向け融資の見直しだ。昨年の改定でも、石炭火力向け新規融資の原則禁止をうたった。だが、OECDの公的輸出信用アレンジメントのルールで輸出対象となっているUSC融資を例外扱いにした。

 

石炭事業向け融資停止を求めてMUFGの米子会社ユニオン銀行前で座り込むNGOのメンバーら
石炭事業向け融資停止を求めてMUFGの米子会社ユニオンバンク前で座り込むNGOのメンバーら

 

 こうした対応に対して、環境NGOだけでなく、欧州系の機関投資家等が懸念を示していた。今回の改定では、USCも原則禁止の対象に加えた。この結果、石炭火力向け与信残高は、中長期的には逓減していく、としている。ただ、石炭関連の融資残高を2030年度までに3~5割減らすという削減目標は明示しなかった。https://rief-jp.org/ct1/88887

 

 また改定前にファイナンスの検討を継続している案件の対応は「可否を慎重に検討する」とした。さらに途上国向け事業では「当該国のエネルギー政策・事情等を踏まえ、OECDなどの国際的ガイドラインを参照し、他の実行可能な代替技術等を個別に検討して、ファイ ナンスに取り組む場合がある」と例外を設けている。

 

 この点について、環境NGOのレインフォレストアクションネットワーク(RAN)などは、「石炭火力への融資方針を強化したことは歓迎する。しかし、明らかな例外事項が示されている点は懸念される」とコメントしている。

 

 MUFGの改定フレームワークは、新たに、森林、パーム油、鉱業(石炭)の 3 セクターを「ファイナンスに際して特に留意する 事業」に追加した。これらのセクターが環境・社会へ負の影響を及ぼす可能性を認識し、ファ イナンスの際には、国際的に認められている認証の取得や、取得に係る行動計画の提出を条件とすることを明記した。

https://www.mufg.jp/dam/pressrelease/2019/pdf/news-20190515-001_ja.pdf

http://japan.ran.org/?p=1430