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みずほフィナンシャルグループ、「サステナビリティへの基本方針」策定。石炭火力発電向け投融資は超々臨界圧火力(USC)以上に限定、と明記(RIEF)

2019-05-22 14:06:10

mizuho11キャプチャ

 

 みずほフィナンシャルグループは、「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」を設定した。その中で、焦点の石炭火力発電事業向け投融資について、OECD公的信用ガイドラインなどの国際的ガイドラインや当該国の政策等との整合性を前提としたうえで、超々臨界圧石炭火力発電設備(USC)以上の案件に限定する、との条件を明示した。7月1日から適用する。

 

  今回の方針は、グループ傘下の、みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券、米州みずほに適用される。また、温暖化対応で気候変動リスクの情報開示を求めるTCFD 勧告に沿った取り組みについても、段階的に実施し、適切に情報開示を行っていく、としている。

 

 今回改定した石炭火力発電向け投融資方針の適用は、新規建設を対象とする。すでに投融資等を決定している計画中の案件や、既存の事業については従来どおりの方針で対応する。石炭火力については「責任ある投融資等」の対象とし、「特に留意する主たる取引」に分類している。同取引には、石炭火力以外に、兵器の製造、パームオイル・木材も含んでいる。

 

 また「禁止する主たる取引」として、従来どおり、①反社会的勢力等の関係先②法令やルールに違反する事業先③公序良俗に反する事業や倫理的に問題のある事業④クラスター弾の製造の事業、を例示している。

 

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 みずほでは昨年6月に「責任ある投融資の管理態勢強化」を公表し、石炭火力については、「温室効果ガス排出に関わる技術が、同等のエネルギー効率を持つ実行可能な代替技術と比較しても、経済合理性を踏まえて適切な選択肢であるか等を検証したうえで、与信判断をする」との表現を公表していた。https://rief-jp.org/ct1/80137?ctid=67

 

 しかし、比較対象となる代替技術に再生可能エネルギー等が含まれるのか不明なほか、石炭火力で焦点のUSCの扱いもあいまいと批判されていた。また、先に三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が新たに石炭火力向け投融資方針を改定したことから、みずほも自社の方針をより明確化する必要に迫られていた。http://rief-jp.org/ct1/89889

 

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 ただ、MUFGは「新設の石炭火力へのファイナンスは原則として実行しない」と明言したのに対して、みずほは「USCおよびそれ以上の高効率の案件に限定する」と述べており、USC向け投融資の姿勢に違いがあるように読める。しかしUFGも「高効率発電技術やCCSなどの採用を支持する」などの条件をつけており、表現の違いだけとの見方もできる。

 

 3メガバンクの対石炭火力発電向けの投融資姿勢をめぐっては、国際的な環境NGOが、石炭火力向け融資残高の多い3グループへの批判を続けている。21日には、国際的なプロジェクトファイナンスの環境・社会ルールを金融機関が自主的に定めた「赤道原則(Equator Principles)」を騙って、「石炭火力向け投融資の多い3メガバンクが同原則から除名された」とのフェイクニュースがグローバルに流れるなどの事態も起きている。http://rief-jp.org/ct1/90040

https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20190522release_jp.pdf

https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20180613release_jp.pdf