ゆうちょ銀行、高齢者向け投資信託の販売で、組織ぐるみの不適切販売。不適切件数は1万5000件以上に。高齢者の「信頼」を悪用(?)(各紙)
2019-06-14 21:02:07
各紙の報道によると、ゆうちょ銀行が、高齢者を対象に不適切な手続きで投資信託を販売していたことがわかった。勧誘時の健康確認を怠るなどの社内ルール等への抵触件数は、1万5000件以上にのぼる。約230の直営店のうち約9割で発覚しており、組織的な不適切販売を展開していた可能性が高い。
日本経済新聞が報じた。ゆうちょ銀行は、高齢者顧客が相対的に多いが、そうした高齢者の「信頼」を悪用した営業戦略が蔓延していたともいえる。投信販売を主力業務に位置づけてきた同行の戦略の根本的な見直しが急務となってきた。
ゆうちょ銀は今月上旬、池田憲人社長が社員向けに「多数の店舗・社員において、投信の販売時に社内ルール等に即しない取り扱いや営業行為が認められた」と明記したメッセージを送った。関係する2018年度の社内表彰式も中止した。
不適切な販売活動は、昨年秋以降の社内調査で発覚した。複数の関係者によると、社内で定めた書式を使わなかったり、勧誘時に行うべき健康状態などの確認作業を購入の申込時に一緒に行ったりしていたという。ゆうちょ銀は社内アンケート調査を通じ、200以上の直営店でこうした事案があったことを把握しているという。
日本証券業協会は高齢者への勧誘・販売に関するガイドラインを設けている。例えば「勧誘の都度、役席者が面談などで健康状態や理解力を確認する」等と定めている。ゆうちょ銀の事案はこうした業界ルールにも違反している可能性がある。
同行広報部は「原因究明に取り組み、再発防止に努める」とコメントしている。
ゆうちょ銀の貯金残高は3月末時点で約181兆円あり、国内金融機関で最大級の規模を持つ。ゆうちょ銀は企業向け融資ができないほか、住宅ローンも仲介業務しかできないなど、運用面の制約が多い。
マイナス金利下で収益確保のために、投信販売を組織的に強化してきた。投信の2018年度の年間販売額は約8900億円で、ここ数年は2ケタ成長を続けている。