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インドネシアのパーム油農園の労働問題でRSPO資格停止のインドフード社。米シティグループが資金供給停止。環境NGOのRANは、資金供給量の多い、みずほ等3メガバンクにも取引停止を要請(RIEF)

2019-06-19 14:54:14

ran2キャプチャ

 

  環境NGOのレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)によると、インドネシアのパーム油農園で労働搾取問題を引き起こしている食品・パーム油大手インドフード・サクセス・マクムールに対して、米シティグループが資金供給を停止した。これを受けてRANは、インドフードへ資金提供を継続している日本のメガバンク3行に対して、シティに続いて資金供給の停止をするよう求めた。インドフードは今年3月、世界最大のパーム油認証制度「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)から会員資格を停止されている。

 

 インドフードでは子会社のパーム油生産企業2社が、インドフードが所有するスマトラ等のアブラヤシ農園で20件以上のRSPO基準違反と10件のインドネシア労働法違反問題を引き起こしている。このため、RSPOは、インドフード子会社に対して是正措置計画の提出を求めていた。しかし、両社は勧告に従わなかったため、RSPO認証は3月に停止された。

 

熱帯林が一気に伐採され、パーム油農園に転用される
熱帯林が一気に伐採され、パーム油農園に転用される

 

 シティグループはこうしたインドフードの対応を問題視し、同社グループに供給していた1億4000万㌦のリボルビングローンの停止を決めた。シティはインドフードへの融資金融機関の中では与信金額7番目だが、欧米の金融機関としてはANZに次ぐ2番目。

 

 日本の3メガバンクでは、みずほフィナンシャルグループがシティの4倍近い5億5000万㌦前後を提供しており、最も多い。ついで三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループの順で、3メガで合計12億㌦前後の資金を供給している。

 

 みずほFGは今年5月のサステナビリティ基本方針で、「禁止する主たる取引」として、「法令やルールに違反する事業を営む先や、違法・脱法行為に対する与信」「社会的な批判を受ける懸念が強い事業活動を行う先への与信」等を明記したほか、特にパーム油については「生産過程での権利侵害等の人権課題や環境問題が起こりうることを認識。それらへの加担を避けるため、持続可能なパーム油の国際認証・現地認証や、国際的な森林認証制度の取得状況等に十分注意を払い、取引判断を行う」と明記している。https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20190522release_jp.pdf

 

「インドフード及び子会社への与信限度額」(単位:百万米㌦)  出典:インドフード財務諸表、2019年3月31日
「インドフード及び子会社への与信限度額」(単位:百万米㌦)
出典:インドフード財務諸表、2019年3月31日

 

 今回のインドフードに対するRSPOの会員資格停止は、これらの条件に該当する可能性が強い。三菱UFJや三井住友等も同様のサステナビリティ規定を掲げている。規定を公表しながら、規定に沿った金融活動の展開を伴わないと、規定そのものへの信頼性を失う恐れがある。

 

 インドフードは、時価総額で40億㌦のインドネシア最大の食品企業。インドネシアでのアブラヤシ農園を担保にした土地抵当権も2番目に大きく、同国の大財閥 サリム・グループの中核企業として知られる。RSPOによる調査は、RAN、国際労働権フォーラム(ILRF)、インドネシアの労働権擁護団体OPPUKの3団体が、2016年10月に行った苦情申し立てがきっかけで実施された。その結果、児童労働、無給労働、不安定雇用、性差別、有害物質使用下での労働状況が確認された。

 

 過去2年間で、インドフードとその親会社であるファーストパシフィックは、このパーム油事業問題のために15社の取引先を失ったという。その15社には日本の製油会社の不二製油、ネスレ、ムシムマス、カーギル、ハーシー、ケロッグ、ゼネラル・ミルズ、ユニリーバ、マース等が含まれる。ただ、インドフードと合弁事業パートナーのペプシコやフランチャイズパートナーのヤム・ブランズ等の企業は、インドフードとの取引を継続しており、インドフードの人権侵害に間接的に関わる関係を続けている。

 

 RANの「 責任ある金融シニア・キャンペーナー」のハナ・ハイネケン氏は「シティグループが同社の方針に基づいて、インドフードへの融資を停止したことを歓迎する。インドフードは国内法、認証機関の基準、国際的な事業規範を長い間にわたって軽視してきた。シティの決定は、インドフードへの投融資を継続しているメガバンクや日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に対し『インドフードへの投融資は無責任である』ことを示す強烈な警告となる」と指摘している。

http://japan.ran.org/?p=1453