HOME9.中国&アジア |日本の3メガバンク、中国の新型肺炎拡大で影響を受けた企業向けの資金繰り支援で、特別融資の設定や融資の迅速化を実施へ。三井住友銀行は50億元(約780億円)の特別融資枠設定(各紙) |

日本の3メガバンク、中国の新型肺炎拡大で影響を受けた企業向けの資金繰り支援で、特別融資の設定や融資の迅速化を実施へ。三井住友銀行は50億元(約780億円)の特別融資枠設定(各紙)

2020-02-07 13:30:45

SMBC1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、新型肺炎の影響が経済活動にも及んでいる中国で、日本のメガバンク3行が企業向けの特別融資などの支援策を打ち出すという。三井住友銀行が50億元(約780億円)の融資枠を設定したのをはじめ、みずほ銀行も融資の上限額や期間に前提を設けない特別融資を始める。三菱UFJ銀行は融資手続きの簡素化で、緊急の資金需要に対応するとしている。中国市場に進出している邦銀のCSR対応ともいえる。

 

 (写真は、三井住友銀行が中国の支店行員と実施しているCSR活動の模様。街の公園等の清掃活動)

 

 日本経済新聞が報じた。3メガバンクのうち、三井住友銀行は50億円の特別融資枠を、新型コロナウイルスによる肺炎の影響を受けた企業や、マスクなど医療用品の生産や物流を手掛ける企業を対象に提供する。金利も企業が借り入れやすいように、従来の融資の場合より低く設定するとしている。

 

 みずほ銀は、新型肺炎の発生で「封鎖状態」になっている武漢市を含む湖北省全体の企業を対象に、特別融資を実施する。同行の場合、融資額や期間はあらかじめ定めず、借り手の資金事情などをもとに個別交渉で融資するとしている。企業側に融資に必要な書類などが整っている場合、1~2週間後には融資実行が可能という。今回の措置は、7月末までの時限措置と位置付けているが、新型肺炎の影響次第では、延長も検討するとしている。

 

 三菱UFJ銀行は、影響を受けた企業への緊急融資に必要な手続き等が、企業側の負担にならないように手続きの簡素化や手数料の減免を図るとしている。同行の場合、通常は行内の決裁や契約、必要書類の提出などに、2週間から1カ月ほどかかるというが、これを既存の取引先に対しては最速1週間ほどで完了させて、資金供給をするとしている。

 

 中国の銀行監督当局は1月末、金融機関に対して、新型肺炎の影響を受けた企業への貸し渋りや貸し剥がしをしないよう通知を出した。上海や広東省など多くの地域で、今月10日から企業活動の再開が見込まれており、日本のメガバンクはそれを踏まえて、前倒しで対応策をまとめた。融資先への緊急対応をESG活動の一環としてとらえる意識も広がっているようだ。

 

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200207&ng=DGKKZO55330240W0A200C2EE9000