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東電新社長 値上げ、再稼働 譲らず(東京新聞)

2012-05-09 11:18:29

記者会見する東京電力の広瀬直己次期社長=8日、東京都千代田区内幸町の同本店で(坂本亜由理撮影)
東京電力は八日、広瀬直己常務(59)が社長に、原子力損害賠償支援機構運営委員長の下河辺和彦氏(64)が会長に就く人事の内定を発表した。記者会見した広瀬氏は「身を切る合理化努力と値上げの必要性をしっかり説明し理解を求めていく」と話し、家庭向け電気料金の値上げに意欲を表明。原発の再稼働にも前向きな姿勢を示した。ただ、値上げと再稼働への反発は強く、両氏は困難な経営のかじ取りを迫られる。

記者会見する東京電力の広瀬直己次期社長=8日、東京都千代田区内幸町の同本店で(坂本亜由理撮影)





 東電は今後の経営体制などを示す「総合特別事業計画」に七月から家庭向け電気料金の10%程度の値上げを盛り込んだ。ただ、四月から始まった企業向けの電気料金では、説明不足で値上げに同意しない企業が続出。家庭向けの値上げでも反発が起きるのは必至だ。




 広瀬氏は二〇一三年度中の柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に関しては「地元の意見を最大限尊重し、新潟県が求めている福島事故の検証をしっかりやる。正面から取り組み再稼働につなげたい」と話した。




 東電は七月にも一兆円の公的資金の資本注入を受け、国有化される見通し。国の再稼働に対する方針が定まらない中では原発再稼働は容易ではない。




 広瀬氏は昨年三月の東日本大震災以降、原発事故の被災者への賠償を担当してきた。東電内には社長就任について「誠実な姿勢が評価された」との見方もあるが、会見で広瀬氏は社長に選ばれた理由について「正直、よく分からない」と述べるにとどめた。




 広瀬氏は経営の最優先課題として「確実な賠償」を掲げた。しかし、多くの被災者から賠償の遅れを批判されており、社長就任で賠償が急速に進むとは考えにくい。




 一方、下河辺氏は会長、社長人事の内定の発表に先立ち、枝野幸男経済産業相に人事を報告。会談後、枝野氏は「これで事業計画の実施体制の骨格が固まった。早急に判断したい」と話し、九日にも事業計画を認定する考えを示した。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012050902000089.html