HOME11.CSR |旭化成、稼働100年近い自前の老朽水力発電所を「最新の水力発電」に改修する費用調達で、グリーンボンド100億円発行へ。発電電力はすべて自社の工場等で使用(RIEF) |

旭化成、稼働100年近い自前の老朽水力発電所を「最新の水力発電」に改修する費用調達で、グリーンボンド100億円発行へ。発電電力はすべて自社の工場等で使用(RIEF)

2020-05-14 08:00:37

asahikasei1キャプチャ

 旭化成は、宮崎県と熊本県に所有する古い水力発電所を改修して、再エネ電力として活用するため、100億円のグリーンボンドを発行する。発行は6月にも実施する。両発電所はともに大正年間に完成した老朽設備。これらの発電設備を更新し、高効率化することで、今後、数十年から100年にわたって、再エネ電力を供給できる。「大正の水力発電」が「令和の最新再エネ」として蘇るわけだ。

 (写真は、現在も稼働中の「大正生まれ」の五ヶ瀬川発電所)

 資金使途先となる水力発電所は、宮崎県西臼杵郡にある五ヶ瀬川発電所と熊本県の馬見原(まみはら)発電所。五ヶ瀬川は、宮崎県北部を流れ、一部、熊本県阿蘇地方を通って、延岡市から日向灘に流れ込む一級河川。両発電所はともに五ヶ瀬川の水資源を活用した取り込み式の水力発電所だ。五ヶ瀬川発電所は、大正14年(1925年)の完成、馬見原発電所は大正15年(1926年)完成で、ともに、間もなく100年歳になろうかという老朽発電所だ。発電量は5MW~20MW。

 旭化成は、創業以来、五ヶ瀬川水系の水力発電所からの送電で事業活動をしている。現在は合計9カ所(最大出力合計 56.84MW)の水力発電所を所有(他に火力発電所5カ所)している。いずれの設備も完成後70年以上を経過しており、これまでは補修工事で支えてきた。しかし、老朽化が目立っているうえ、耐震性の面から除却・撤去の判断も迫られる状況にある。そこで、大正年間に稼働した2カ所の発電所を「再生」することとした。

産業遺産化した馬見原発電所
産業遺産としても人気の高い馬見原発電所

 五ヶ瀬川水系の水量は変わらず豊富なことと、いったん改修整備すると、また100年ぐらいは発電を続けることができ、安定的な再エネ電源とみなせる。発電した電力は旭化成の宮崎県延岡地区の工場群に引き続き供給することで、同社の消費電力のグリーン化とCO2削減に貢献する。また大規模なダムだと、環境破壊等の課題が生じるが、同発電所は20MW以下で環境省のアセスメントの対象外で、追加的な環境負荷等は最小限に抑えられる見通しという。

 6月にも発行するグリーンボンドは期間5年。野村證券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券の4社が主幹事を務める。野村證券はグリーンボンド・ストラクチャリング・エージェントも務める。ボンドのグリーン性については、Sustainalyticsが国際的なグリーンボンド原則(GBP)への適合を評価するセカンドオピニオンを付与した。

 旭化成は、2019年度からの3カ年の中期経営計画「Cs+(シーズプラス) for Tomorrow 2021」で、「サステナビリティ」を経営の重点要素と位置づけ、Care for Earthのキーワードでの取り組みを進めている。今回の水力発電所の改修・再生は、そうした経営計画に沿うものでもある。「地球環境に対するわが社の姿勢をより明確に示すために、工事資金をグリーンボンドの発行により調達することを決めた」と説明している。

https://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/news/2020/ze200511_2.html

https://www.sustainalytics.com/sustainable-finance/wp-content/uploads/2020/05/Asahi-Kasei-Corp.-Green-Bond-Second-Party-Opinion-Japanese.pdf