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太陽光発電導入量、2050年までに300GWへ。電源構成で31%とトップシェア。エネルギー自給率も2割近くに上昇。太陽光発電協会が改定長期ビジョンで展望示す(RIEF)

2020-05-25 16:33:33

solara1キャプチャ

 

  太陽光発電協会(JPEA)は、2050年までの国内での太陽光発電導入量を従来の目標より5割増の300GWとし、電源構成に占めるシェアを31%と、火力発電(25%)を抜いて最大の主力電源になると位置付けた。太陽光が主力電源となることで、CO2排出量は年間2.59億㌧減少、炭素価格で2.4兆円の価値を創造できる。エネルギー自給率も現行の0.9%から18.9%へと改善する。

 

 JPEAは長期ビジョン「PV OUTLOOK 2050」の最新版の中でこうした目標を示した。JPEAは2017年の現行目標では、2050年の太陽光発電の総導入量を200GW(連系出力ベース)と設定していた。政府の「2050年までにCO2排出量を80%削減」との環境目標達成に沿ったものだ。

 

2050年の最大想定導入量(300GWケース)
2050年の最大想定導入量(300GWケース)

 

 しかし、17年以降、気候変動をめぐる市場環境が大きく変化していると指摘。気候変動を事業リスクととらえる企業の動きが世界的に広がり、太陽光発電への転換がこれまで以上に進んでいる。さらに自然災害の増大、今回の新型コロナウイルス感染拡大なども気候変動との関係が指摘されており、再エネ転換の促進がまさに優先課題だとして、目標の大幅見直しに踏み切った。

 

 最新版での2050年目標で設定した300GWは連系出力ベース。太陽光パネル出力ベース(DC)では最大420GWとなる。年間導入量は2030年代前半までは約4~6GWで推移し、2030年代後半以降は、低コスト化、CO2削減の要求等から、既存の太陽光発電設備のリプレース・増設分を含めて年10~20GWへと導入量が拡大すると想定した。

 

 300GWの導入場所は、都市等の需要地では戸建て住宅が最も多く61GW、非住宅建物(33.6GW)集合住宅(22.4GW)などで合計147GW。遠隔地の非需要地では、農業耕作地と併営(50.7%)が多く、次いでFIT認定の非住宅(46.%)、水上利用(23.3%)などで、合計153GW。

 

2050年の電源構成の割合
2050年の電源構成の割合

 

 太陽光発電普及の課題は、日照時間による制約。ビジョンでは、蓄電池等について、最大化ケースで電気自動車(EV)を軽油貨物は半分がEV化、それ以外はすべてEV化(6000万台)とするほか、家庭のHP給湯器普及を4000万台、需給バランス用の蓄電池を5.0億kWh、二次調整力用、三次調整力用をそれぞれ3000万kWh、6000万kWh導入するシナリオを設定している。

 

 想定通りに300GWの太陽光発電の導入が実現した場合の2050年の電源構成は、太陽光31%、風力15%、水力10%、その他再エネ7%、原子力11%、火力25%と試算。これは蓄電池の導入量が広く進んだ高位シナリオでの想定値。再エネ全体では水力を除いて53%と過半を占める。水力を含めると63%に達する。

 

 再エネ発電は現在、固定価格買取制度(FIT)で買い取り額が決まっており、その買取費用な賦課金として国民負担となっている。買取費用は2019年度で約3.6兆円、賦課金総額は2.4兆円。ただFIT価格の低下に伴い負荷金額は次第に減少、2030年で新規認定は終了する。

 

 FIT等の負担と、再エネ導入による発電やCO2削減費用等の便益を考慮した費用対効果分析では、2035年から便益が費用を上回り、累積便益も2056年に黒字転換。その後は2兆円前後の年間便益が期待できるとしている。FIT認定の設備に限定した場合でも、買取価格の低下に伴い、黒字化は単年度で2025年度に、累積でも28年度に黒字転換する。36年には黒字は1兆円を超す。

http://www.jpea.gr.jp/pdf/pvoutlook2050.pdf