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大林組、大分県で、わが国初となる地熱発電を利用した水素製造の実証事業実施へ。発電した水素は燃料電池フォークリフトの燃料に。水素を地元で生産・地元で活用へ(RIEF)

2020-07-10 13:58:39

Ohbayashi002キャプチャ

 大林組は大分県で、地熱発電を利用した水素製造事業の実証事業に乗り出す。地熱を利用した水素製造はわが国では初めての試みとなる。製造した「CO2フリー水素」は、地元の工場等で燃料電池フォークリフトの燃料などに利用する計画。地域の発電資源を利用して温暖化対策を推進する取り組みで、地熱資源の多い日本でのエネルギー利用としての普及が期待される。

   実証事業は大分県玖珠郡九重町で、大分地熱開発会社(大分市)の協力を得て進める。8月に実証プラントの建設に着工、21年7月から実証実験に入る。実証期間は2024年3月末までの予定。大林組では検証結果の成否をみて、本格的な事業化に移行するかどうかを判断するとしている。

 事業では、バイナリー発電機を利用した地熱発電実証プラントの設計、建設および性能検証を行う。地熱発電電力を利用する水素製造実証プラントには、大林組が開発した複数の運転モードを備えたプラント向けエネルギーマネージメントシステム(EMS)を利用し、水素製造を最適に行うための検証を行うとしている。

Ohbayashi002キャプチャ

 実証プラントで製造したCO2フリー水素は、地元の工場で使う燃料電池フォークリフトの燃料に利用するほか、地域のエネルギー資源としての有効活用を目指す。システムの効率化を図るため、製造した水素を運ぶ搬送車両にはGPS端末を装備し、車両の発着スケジュールに合わせてプラントを起動停止せずに連続運転が可能なように制御する機能もあるという。

 大林組はこれまでも、ニュージーランドで、地元の先住民マオリの信託組織であるTuaropaki Trust(トゥアロパキ・トラスト)と共同で、地熱発電を利用した水素製造プラント事業を展開している。また、太陽光・バイオマス・風力などの再エネ事業にも力を入れている。

 今回の大分県での実証事業では、ニュージーランドでの経験を生かすとともに、地元等から研究パートナーを広く募り、実証事業で生み出される地熱発電電力やCO2フリー水素のさまざまな活用方法を検討して、地域住民等にも再エネ利用と水素活用を体感できるようにしたいとしている。

https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20200709_1.html